エタール層の特性サイクル

冬学期 金曜2限 数理棟118 4年・大学院  数学続論XF,数物先端科学III 時間割コード 0505110, 45901-111
講義内容: 正標数の多様体上のl進層にも、複素多様体上のD加群と同様に、その特性サイクルが余接束のサイクルとして定義され、オイラー数についての指数公式などがなりたつ。最近Beilinsonによって示された, 特異台とよばれる特性サイクルの台で、局所非輪状性に関する条件をみたすものの存在証明を紹介して、ミルナー公式で特徴付けられる特性サイクルの存在を示し、指数公式も証明する.そのために必要な、消失輪体の一般論、(局所的)ラドン変換などの幾何的な構成、分岐理論なども解説する。

キーワード: エタール・コホモロジー、特性サイクル、余接束、局所非輪状性、消失輪体、消失トポス、ラドン変換、指数公式、分岐理論、スワン導手

目次(予定)  0 総論.  1 特異台と局所非輪状性.  2 特性サイクルとMilnor公式.  3 Swan導手の平坦性.  4 消失トポス.  5 分岐理論.  6 曲面の場合.  7 ひきもどし.  8 指数公式.  9 F横断性. 
講義日程
予定: 消失トポスを用いたスワン導手の連続性の一般化を解説した後、局所非輪状性を使ってエタール層の複体の特異台を、余接束の錐閉部分集合として公理的に定義する.消失輪体の全次元の安定性を導き、局所ラドン変換を使ってミルナー公式で特徴付けられる特性サイクルの存在を証明する.非特性的なスムーズ因子へのひきもどしと特性サイクルの構成の両立性を証明し,指数公式を導く.
Beilinsonの論文 と現在作成中の論文 にそって解説する.次の論文の結果も使う. このほか,次の参考文献の内容を使う.