談話会・数理科学講演会

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担当者 阿部紀行、岩木耕平、河澄響矢(委員長)、小池祐太
セミナーURL https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/seminar/colloquium/index.html

2015年12月04日(金)

16:50-17:50   数理科学研究科棟(駒場) 123号室
佐々田槙子 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
確率論の問題に現れる無限直積空間上の完全形式と閉形式について (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
ミクロな系の時間発展を表す確率過程からマクロな系の時間発展を表す偏微分方程式を導出する流体力学極限は統計力学を基礎付ける重要なスケール極限の一種である。その証明において、無限直積空間上の微分1形式(もしくはそれに対応するもの)を考え、閉形式の空間を完全形式の空間とその直交空間に分解するという定理が重要な役割を果たしている。この定理は確率過程に対応する(微分)作用素ごとに証明されてきたが、既存の手法は代数的な内容と解析的な内容が混在した複雑なものであった。しかし、講演者らは最近、この問題を代数的な問題と解析的な問題に分け、代数的な部分については、モデルの詳細によらずに非常に一般的に成立することを明らかにした。また、解析的な問題についても、$L^2$空間が作用素とよい関係を持つ基底を持つ場合には、直感的でシンプルな証明が得られることを示した。しかし、この周辺の話題については問題の定式化も含めて未解明な部分が多く、代数や幾何、関数解析等の専門家からの助言が大きな進展をもたらす可能性があると考えている。そこで、講演では問題の背景にはあまり触れずに、無限直積空間上のある種の1形式に関する話題に絞って紹介したい。特に、{0,1}の無限直積に対する具体的な問題を中心に紹介する。
[ 参考URL ]
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/teacher/sasada.html