Lie群論・表現論セミナー
過去の記録 ~12/08|次回の予定|今後の予定 12/09~
開催情報 | 火曜日 16:30~18:00 数理科学研究科棟(駒場) 126号室 |
---|---|
担当者 | 小林俊行 |
セミナーURL | https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~toshi/seminar/ut-seminar.html |
2021年06月29日(火)
17:00-18:00 数理科学研究科棟(駒場) Online号室
藤原英徳 氏 (近畿大学名誉教授)
冪零リー群に対する多項式予想について (Japanese)
藤原英徳 氏 (近畿大学名誉教授)
冪零リー群に対する多項式予想について (Japanese)
[ 講演概要 ]
G = exp g をリー環 g をもつ連結・単連結な冪零リー群とし、H = exp h をリー環 h をもつ G の解析部分群、χ を H のユニタリ指標とし、G の単項表現 τ = ind_H^G χ を考える。このとき、τ の既約分解における重複度は一様に有界であるかまたは一様に ∞ に等しいことが知られている。前者の場合 τ は有限重複度をもつという。
さて、データ (H,χ) に伴う G/H 上の直線束に作用する G-不変微分作用素の環を D_τ(G/H) で表す。τ が有限重複度をもつことと D_τ(G/H) が可換であることは同値である。1992 年 Corwin-Greenleaf は次の多項式予想を提出した:
τ が有限重複度をもつとき、環 D_τ(G/H) は Γ_τ 上の H-不変多項式環C[Γ_τ]^H と同型であろう。ここでΓ_τ はg の双対ベクトル空間の元で h への制限が -√-1 dχ を満たすものがなすアファイン部分空間である。
群の表現論において2つの操作,誘導と制限,の間にはある種の双対性があることが良く知られている。そこで表現の制限についても多項式予想を考えてみよう。G をこれまで通り連結・単連結な冪零リー群、π をその既約ユニタリ表現とする。K を G の解析部分群とし π の K への制限 π|_K を考える。今回もまた π|_K の既約分解における重複度は一様に有界であるかまたは一様に ∞ に等しいことが知られている。前者の場合 π|_K は有限重複度をもつといい、我々はこれを仮定しよう。G のリー環 g の複素化の包絡環を U(g) とし、不変微分作用素環 (U((g)/ker π)^Kを考える。つまり K-不変な元の全体である。すると、π| Kが有限重複度をもつことと (U((g)/ker π)^K が可換環であることは同値である。このとき環 (U((g)/ker π)^K は Ω(π) 上の K-不変多項式環 C[Ω(π)]^K と同型であろうか? ここで Ω(π) は π に対応する G の余随伴軌道である。
我々はこれら 2 つの多項式予想を証明したい。
G = exp g をリー環 g をもつ連結・単連結な冪零リー群とし、H = exp h をリー環 h をもつ G の解析部分群、χ を H のユニタリ指標とし、G の単項表現 τ = ind_H^G χ を考える。このとき、τ の既約分解における重複度は一様に有界であるかまたは一様に ∞ に等しいことが知られている。前者の場合 τ は有限重複度をもつという。
さて、データ (H,χ) に伴う G/H 上の直線束に作用する G-不変微分作用素の環を D_τ(G/H) で表す。τ が有限重複度をもつことと D_τ(G/H) が可換であることは同値である。1992 年 Corwin-Greenleaf は次の多項式予想を提出した:
τ が有限重複度をもつとき、環 D_τ(G/H) は Γ_τ 上の H-不変多項式環C[Γ_τ]^H と同型であろう。ここでΓ_τ はg の双対ベクトル空間の元で h への制限が -√-1 dχ を満たすものがなすアファイン部分空間である。
群の表現論において2つの操作,誘導と制限,の間にはある種の双対性があることが良く知られている。そこで表現の制限についても多項式予想を考えてみよう。G をこれまで通り連結・単連結な冪零リー群、π をその既約ユニタリ表現とする。K を G の解析部分群とし π の K への制限 π|_K を考える。今回もまた π|_K の既約分解における重複度は一様に有界であるかまたは一様に ∞ に等しいことが知られている。前者の場合 π|_K は有限重複度をもつといい、我々はこれを仮定しよう。G のリー環 g の複素化の包絡環を U(g) とし、不変微分作用素環 (U((g)/ker π)^Kを考える。つまり K-不変な元の全体である。すると、π| Kが有限重複度をもつことと (U((g)/ker π)^K が可換環であることは同値である。このとき環 (U((g)/ker π)^K は Ω(π) 上の K-不変多項式環 C[Ω(π)]^K と同型であろうか? ここで Ω(π) は π に対応する G の余随伴軌道である。
我々はこれら 2 つの多項式予想を証明したい。