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ベクトル解析

授業の目標,概要

1年生で学んだ「微分積分学」において実数を値に持つ関数の微積分を扱ったが, 自然科学では運動する点の速度のようにベクトルに値を持つ時間の関数や, 各点の電荷密度のように空間上の関数などが, よくあらわれる. さらに電磁気学における磁場のように,空間上の関数であってベクトルに値を 持つものが扱われることも多い.ベクトルに値をもつ関数はベクトル場と呼ばれ, 実数に値をもつ通常の関数はスカラー場とも呼ばれる.そのような種々の関数があらわれ, 微積分学的な性質とベクトルのもつ性質が組み合わさって重要な役割を演じる 自然現象が,電磁気学や流体力学をはじめとして数多くの場面で見かけられる. 本科目では自然現象の記述と考察に適用できるそのような数学的枠組みについて解説する.

授業計画

講義内容はおおむね以下の通りであるが,担当教員によっては順序や内容に 一部変更が加えられる場合がある.

  1. 曲線,曲面上の積分:
    パラメータ表示された曲線上のベクトル場の線積分や,パラメータ表示された曲面上の関数やベクトル場の面積分の定義をする.また,曲線および曲面の接ベクトルや法ベクトルなどの幾何学的概念について考察し,曲線の長さ, 曲面の面積などの定義とその計算法について学ぶ.
  2. 関数,ベクトル場とその勾配,発散,回転:
    関数に対する勾配,またベクトル場に対する発散および回転の定義とその幾何学的意味について解説する.
  3. 微積分学の基本定理の拡張:
    勾配と線積分:関数の勾配によりあらわされたベクトル場の線積分と, その関数との関係を考察する.
  4. グリーンの定理とガウスの発散定理:
    発散と領域上の積分:平面領域における2重積分と, その境界における線積分との関係である,平面におけるグリーンの定理について学ぶ. さらに,空間領域における3重積分と,その境界における面積分との関係である,ガウスの発散定理および空間におけるグリーンの定理について学ぶ. ここではベクトル場の発散が用いられる.
  5. ストークスの定理:
    回転と面積分:3次元空間内の曲面における面積分と,その境界における線積分との関係である,ストークスの定理について学ぶ. ここではベクトル場の回転が用いられる.
  6. 微分形式:
    勾配と線積分の関係,グリーンの定理,ガウスの発散定理,ストークスの定理を 系統的に記述するための記法としての微分形式とその外微分について解説する. さらに線積分,面積分,3重積分を微分形式の積分として統一的に定式化する.
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