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解析学基礎

授業の目標,概要

解析学の要である無限操作を誤りなく扱うには深い理解が必要である.この講義では,実数の連続性とε-δ論法に基づき,数列や関数列の収束などの解析学の基礎となる概念をきちんと取り扱うことによって理解を深める.

授業計画

講義内容はおおむね以下の通りであるが,担当教員によっては順序や内容に一部変更が加えられる場合がある.

  1. デデキントの切断:
    実数は中学校以来よくわかったものと思われているかもしれないが,高校数学までではその厳密な定義は教えられていない.ここではデデキントの切断と呼ばれる手法に基づく実数の定義を現代数学の立場から解説する.
  2. 実数の連続性:
    実数が「隙間なく詰まっている」ということを数学的に言い表したものが「実数の連続性」であり,実数の鍵となる性質である.その様々な定式化とそれらの帰結について解説する.
  3. ε-δ論法:
    数列,関数の収束についてε-δ論法を用いた定義と,その基本性質の証明を与える.
  4. 中間値の定理:
    高校数学では直感的に説明されていた中間値の定理について,実数の連続性に基づいた証明を与える.
  5. 最大値の定理:
    高校数学では軽くふれられていただけの最大値の定理について,実数の連続性に基づいた証明を与える.
  6. 平均値の定理:
    高校数学では厳密な取り扱いのなされていなかった平均値の定理について,実数の連続性に基づいた証明を与える.
  7. コンパクト性:
    Rn の有界閉集合と呼ばれる集合は,コンパクト性と呼ばれる特別によい性質を持っている.このことを主張するのがハイネ・ボレルの定理である.これについて証明を与え,その意味,使い方について解説する.
  8. リーマン積分:
    一変数のリーマン積分について理論的な取り扱いを示し,有界閉区間上の連続関数がリーマン積分可能であることを証明する.
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