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常微分方程式

授業の目標,概要

種々の量の時間発展は,多くの場合,常微分方程式を用いて記述できる.また,電柱の間にぶら下がった電線の形状や屈折する光の経路をはじめ,さまざまな曲線の幾何学的性質を常微分方程式によって特徴付けることができる.常微分方程式は,自然科学や工学,社会科学などの多くの分野で重要な役割を演じている.この講義では,常微分方程式の理論的基礎を学ぶとともに,幾つかの重要な具体例を取り上げ,それぞれの方程式の解法と解の性質について解説する.これらの内容の理解には,微分積分学,および線型代数学で学んだ固有値・固有ベクトルに関する基礎知識が必要となる.したがって,本講義は,これらの知識の総合的応用篇であるとともに,進んで偏微分方程式論を学ぶための入門篇でもある.

授業計画

講義内容はおおむね以下の通りであるが,担当教員によっては順序や内容に一部変更が加えられる場合がある.

  1. 常微分方程式の基礎:
    常微分方程式を考える動機や,特殊解,一般解など常微分方程式に関する基礎概念 について,具体例を用いて解説する.
  2. 常微分方程式の解法:
    変数分離型の常微分方程式や,1階線型常微分方程式など,具体的に解が求まる簡単な常微分方程式の解法を解説する.全微分方程式にも触れる.また,べき級数による常微分方程式の解法を解説する.
  3. 定数係数線型常微分方程式系:
    定数係数線型常微分方程式系の具体的な解法について,例を交えて解説する.そのために必要となる,行列の対角化の一般化であるジョルダン標準形の理論についても触れる.
  4. 自励系の常微分方程式:
    自励系の常微分方程式をベクトル場とみなすと,解はその積分曲線となる.その曲線の基本的性質を調べる.また,自励系の常微分方程式の平衡点の近傍における解の安定性について解説する.
  5. 解の存在と一意性定理:
    常微分方程式の解の存在と一意性についての定理を逐次近似法を用いて示す. また,解の大域的な存在や一意性が成り立たない例について触れる.
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