Lie群論・表現論セミナー

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開催情報 火曜日 16:30~18:00 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 小林俊行
セミナーURL https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~toshi/seminar/ut-seminar.html

2020年07月14日(火)

17:30-18:30   数理科学研究科棟(駒場) #号室
トポロジー火曜セミナーと合同。オンライン開催。
奥田隆幸 氏 (広島大学 大学院先進理工系科学研究科)
Kobayashi's properness criterion and totally geodesic submanifolds in locally symmetric spaces (Japanese)
[ 講演概要 ]
G をリー群とし,X を G-等質空間とする.
X のいくつかの開集合を G 移動で貼り合わせて得られる多様体を(G,X)-多様体とよぶ.
X の G 不変局所幾何構造(計量など)は(G,X)-多様体に移植可能であり, (G,X)-多様体はよい幾何構造を持った多様体の例を供給することが期待される.
この意味で, (G,X)-多様体の構成は微分幾何学における重要な研究テーマの一つである.

G の離散部分群が X に固有不連続に作用するとき, その離散群を X の不連続群とよび, その作用による X の商多様体を Clifford--Klein 形と呼ぶ.
Clifford--Klein 形は (G,X)-多様体である.
これより G-等質空間 X 上の不連続群の構成や分類は重要な問題となる.
G-等質空間 X のイソトロピーがコンパクトである場合には, Gの捻じれのない離散部分群はすべて不連続群である.
しかし X のイソトロピーが非コンパクトであるような場合においては, G の捻じれのない離散群であっても, X の不連続群になるとは限らない.

以下, G が線型簡約リー群であり, G-等質空間 X として簡約型かつイソトロピーが非コンパクトであるような場合を考える(この設定では X は G 不変リーマンは許容しないが, G不変擬リーマン計量を許容する).
小林俊行氏は [Math.Ann.(1989)], [J. Lie Theory (1996)] において, 与えられた G の離散部分群が X の不連続群になるための判定条件を与えている.
この判定法は与えられた離散部分群と X におけるイソトロピー部分群の ``固有値の分布''の関係性に着目する画期的なものである.

本講演では 正定値非コンパクトリーマン対称空間の全測地的部分多様体の族として実現されるような G-等質空間 X について, リーマン幾何学の言葉を用いて上記の小林氏の判定定理を翻訳したものを紹介する.
この枠組みにおいては, 与えられた離散部分群の``固有値の分布''の代わりに, その群の定める局所対称空間の``測地ループの分布''に着目する.