談話会・数理科学講演会

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担当者 阿部紀行、岩木耕平、河澄響矢(委員長)、小池祐太
セミナーURL https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/seminar/colloquium/index.html

2021年03月19日(金)

15:00-17:30   オンライン開催
定員500名に達したので、登録を締め切りました。(2021年3月18日14時)
儀我 美一 氏 (東京大学大学院数理科学研究科) 15:00-16:00
微分方程式で表現される粘性や拡散の効果 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
微分方程式は、科学や技術の諸現象を記述するために広く用いられています。粘性のある流体の運動を記述するナヴィエ・ストークス方程式や、拡散現象を記述する拡散方程式など、さまざまな例があります。また近年、微分幾何学で注目されている平均曲率流方程式は、もともとは金属の結晶表面(粒界)の形状変化を記述するために導入された拡散型の微分方程式です。粘性や拡散からは状況を平滑化(スムージング)する効果が想像されますが、一方で液滴がちぎれるような特異点が生じる場合もあります。このような現象を微分方程式で捉えるためには、微分できない関数を微分方程式の解とみなす必要があります。また、画像からノイズを除去するために用いられる全変動流型方程式のような特異拡散方程式については、何をもって解とすればよいかは自明ではありません。
 本講演では、方程式の解をどのように定義したらよいかという問題を含めて、多様な拡散効果の扱い方を、講演者が携わってきた数学解析を中心に、その考え方を概説します。さらに、結晶成長分野、画像処理分野、さらにデータサイエンス分野への応用について触れます。
河野 俊丈 氏 (明治大学総合数理学部・東京大学大学院数理科学研究科) 16:30-17:30
高次圏におけるモノドロミー表現と反復積分 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
1980年代半ばのJones多項式の発見以降,結び目と3次元多様体の位相不変量の研究に関する新たな手法が発展し,位相幾何学のみならず,量子群の表現論,共形場理論,可解格子模型などの数理物理の分野,数論におけるガロア表現など広範な領域と関わって発展してきた.KZ方程式のモノドロミー表現の量子群による対称性は,この分野の発展において重要な役割を果たしている.講演者がこのような研究に関わってきた動機の一つは,基本群を微分形式の立場から理解するということがあり,その手法の一つとしてK. T. Chenによる反復積分の手法があげられる.本講演では,Chenのホモロジー接続の手法によってモノドロミー表現を高次圏に拡張して,組みひもの間のコボルディズムの圏の表現などに応用することについて述べる.