談話会・数理科学講演会

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担当者 足助太郎,寺田至,長谷川立,宮本安人(委員長)
セミナーURL https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/seminar/colloquium/index.html

2007年06月15日(金)

16:30-17:30   数理科学研究科棟(駒場) 123号室
お茶&Coffee&お菓子: 16:00~16:30(コモンルーム)
井原茂男 氏 (東京大学先端科学技術研究センター, システム生物医学ラボラトリー(LSBM), ダイナミカルバイオインフォーマティクス)
大規模データ解析時代の生物学における数理解析への期待
[ 講演概要 ]
21世紀はバイオの時代と言われて10年が経過しようとしている。ゲノムプロジェクトによってヒトのDNA配列は決定され、一塩基多型、コピー数解析とゲノム上での変化と遺伝子の発現、および疾患との関連性も調べられてきた。最近ではエピゲノムといわれるDNAのメチル化などゲノム配列以外の効果によっても、遺伝子発現が制御されるメカニズムが次第に明らかにされつつある。確かに、実験手法の急速な進歩によって大量のデータが得られ、知識も急増している。さらに、IT、データベース技術によって、オリジナルデータやそこから得られた情報なども容易に入手可能である。しかし生命現象で最も基本的でしかも応用上最も最優先で解明すべき遺伝子の転写機構でさえも、様々なモデルが提唱され定説もまだないのが現状である。我々は、データマイニングの観点からデータ処理を進める一方、文献から遺伝子や蛋白質の相互作用を自然言語処理で抽出し、マイクロアレイの解析に適用しいくつかの結果を得た。しかし、実験から得られるデータはますます大規模化が進み、新たな情報処理が必要になってきている。そこで、我々の解析のアプローチといくつかの問題点、さらには今後の解決の方向性について、演者自身が過去にいくつかの分野で採用してきたアプローチについても触れながら考察してみたい。また、生命科学の発展が期待されている領域である臨床研究でのイノベーションとも関連付け、今後の新しい数理解析への期待について述べてみたい。