トポロジー火曜セミナー

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開催情報 火曜日 17:00~18:30 数理科学研究科棟(駒場) 056号室
担当者 河澄 響矢, 北山 貴裕, 逆井卓也
セミナーURL http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/MSF/topology/TuesdaySeminar/index.html

2019年10月08日(火)

17:30-18:30   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
Tea: Common Room 17:00-17:30
塚本 真輝 氏 (九州大学)
いかにして双曲的力学系を群作用に拡張するか? (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
双曲性は通常の力学系(1パラメータ群作用の研究)において最も基本的な重要性を持つ概念です.それは,十分な豊かさ(拡大性や正エントロピー)を持ちながらも,同時に制御可能(安定性や適切な意味での良い測度の一意性)な力学系の例を与えます.ではこれを群作用に拡張できるでしょうか?

ナイーブには困難です.例えば $Z^2$ の作用を考えましょう(つまり可換な 2 パラメータ作用)・簡単にわかるのは,有限次元のコンパクト多様体に $Z^2$ が可微分に作用するとき,その $Z^2$ 作用としてのエントロピーはゼロになります.つまり,通常の有限次元の状況には,豊かな $Z^2$ 作用は存在しません.言い換えると,十分に豊かな群作用を得るためには無限次元の世界に行かざるを得ません.しかし,無限次元の世界でどのような構造を見出せばよいのでしょうか?

この講演では,このような方向性にアプローチする際に,平均次元と呼ばれる量が大きな役割を果たす可能性を説明します.特に,次のような原理についてお話します:

$Z^k$(可換な $k$ パラメータ群)が空間 $X$ に何らかの「双曲性」を持って作用するとき,$Z^k$ のランク $k-1$ の部分群 $G$ の部分作用に対する平均次元が制御できる.

この講演はTom Meyerovitch,篠田万穂との共同研究に基づきます.