トポロジー火曜セミナー

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開催情報 火曜日 17:00~18:30 数理科学研究科棟(駒場) 056号室
担当者 河澄 響矢, 北山 貴裕, 逆井卓也
セミナーURL http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/MSF/topology/TuesdaySeminar/index.html

2016年06月28日(火)

17:00-18:30   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
Tea: Common Room 16:30-17:00
見村 万佐人 氏 (東北大学)
Strong algebraization of fixed point properties (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
バナッハ空間(ないしは族)を固定したとき,有限生成群のそれ上の等長作用が常に大域的固定点を持つ,という性質を固定点性質と呼ぶ.ヒルベルト空間全体のなす族を考えたときの固定点性質は,「Kazhdan の性質(T)」と呼ばれる群の剛性と同値であることが知られている.

離散群の線型表現の分類は連続群と違い,群が少しでも複雑になると手に負えない.これが原因で,離散群の固定点性質を直接示すことは当面の間著しく困難であった.Y. Shalom は1999年の論文(Publ. IHES)で,固定点性質を部分群に分けて,最後に“パッチワーク”する,という手法を応用し,上の困難に対し初のブレイクスルーをもたらした.しかし,Shalomのパッチワーク戦略では群の部分群による「有界生成(Bounded Generation)」という厄介な要請が本質的であって(後述するように実はこれは気のせいだったのだが,長年そう信じられてきたように講演者には思われる),この要請がShalomの手法を適用する際の致命的な弱点となっていた.

今回,講演者はShalomのパッチワーク(1999,2006)の思想を発展させて,「有界生成」条件を舞台から追いやることに成功した.講演者の条件は,
部分群たちを広げていくある“ゲーム”の必勝戦略として記述される.講演ではこの“ゲーム”の内容・証明のあらすじをお話したい.これにより,
「有界生成」の成立がわからないような状況でもパッチワーク戦略を適用できうるようになった.系として,いろいろな離散群が強い固定点性質をもつことを示せ,しかも証明も非常にコンセプチュアルである.こうした応用面についても概観したい.