トポロジー火曜セミナー

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開催情報 火曜日 17:00~18:30 数理科学研究科棟(駒場) 056号室
担当者 河澄 響矢, 北山 貴裕, 逆井卓也
セミナーURL http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/MSF/topology/TuesdaySeminar/index.html

2015年05月12日(火)

17:30-18:30   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
Tea : 17:00-17:30 Common Room
浅岡 正幸 氏 (京都大学)
genericな力学系の周期点の個数の増大度 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
双曲力学系と呼ばれる統計的によい振る舞いをする力学系に関しては,
その周期軌道の数の増大度は常に高々指数的で,増大度は系の統計的
性質と密接に関係することが知られている.一方で1999年にKaloshin
により,homoclinic接触と呼ばれる複雑な分岐現象が稠密に起きるよ
うな領域においてはgenericな力学系はその周期軌道の数の増大度は
指数的よりも速くなることが証明されている.

では,弱い双曲性を持ち,homoclinic接触からは離れている「部分双
曲系」と呼ばれる系において周期点の数の増大度がどう振る舞うだ
ろうか.双曲力学系と同様に高々指数的になるだろうか,それとも,
homoclinic 接触とは異なるメカニズムによって,指数的よりも速く
なるだろうか?

講演者は,篠原克寿氏とDimitry Turaev氏との共同研究によって,
部分双曲系のダイナミクスのある種の単純化である「区間上の反復
函数系」において,ある自然な条件の元でその周期軌道の数がgeneric
には指数的よりも速く増大することを証明した.本講演では,力学
系の周期軌道の増大度の問題の歴史の概観した後,指数的よりも速
い増大度を引き起こすメカニズムについて,Kaloshinが見つけた
homoclinic接触によるものと講演者たちが見つけたものを対比しつ
つ解説したい.