東京確率論セミナー

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開催情報 月曜日 16:00~17:30 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 佐々田槙子、中島秀太(明治大学)
セミナーURL https://sites.google.com/view/tokyo-probability-seminar23/2024年度

2023年06月26日(月)

17:00-18:30   数理科学研究科棟(駒場) 126号室
簗島 瞬 氏 (東京都立大学)
δ次元Bessel引越過程の構成方法,サンプルパス生成方法,および汎関数期待値の数値計算法について (日本語)
[ 講演概要 ]
本講演では,時刻1で初めて所定の値に到達するδ次元Bessel過程(以下,δ次元Bessel引越過程とよぶ)の弱収束による構成方法,サンプルパス生成方法,および汎関数期待値の数値計算法を紹介する.

近年,バリア・オプションの高次Greeks計算において,3次元Bessel引越過程が重要な役割を果たすことが示唆された.δ次元Bessel引越過程は,Williamsの分解の一部分としても現れるため,これまでもその存在は知られていた.しかしながら,この確率過程をバリア・オプションの高次Greeks計算で応用するためには,この確率過程の従来の数学的表現方法だけでは不十分であり,数値計算の観点でより使いやすい別の表現方法が必要となる.本講演ではそれらの別表現と,その別表現を利用した数値計算法を紹介する.

本講演ではまず,δ次元Bessel引越過程が,到達点を超えないよう条件付けられたδ次元Bessel橋の弱収束極限として得られることを説明する.次に,この弱収束の結果と逆関数法を組み合わせることで,3次元Bessel引越過程のサンプルパス生成が可能となることを実証する.更に,この弱収束の結果を用いることで,δ次元Bessel過程とδ次元Bessel引越過程の絶対連続性に関する結果が得られ,対応するラドン・ニコディム微分を用いることで,δ次元Bessel引越過程の汎関数期待値を高速に計算可能となることを説明し,その実証結果を紹介する.
本講演は,石谷謙介氏,林徳福氏との共同研究に基づく.