数値解析セミナー

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開催情報 火曜日 16:30~18:00 数理科学研究科棟(駒場) 002号室
担当者 齊藤宣一、柏原崇人
セミナーURL https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/utnas-bulletin-board/

2018年07月26日(木)

16:00-17:30   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
柏原崇人 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
滑らかな領域における楕円型・放物型ノイマン境界値問題に対する有限要素法の$L^\infty$誤差評価について (日本語)
[ 講演概要 ]
楕円型および放物型問題に対する$L^\infty$ノルム(最大値ノルム)による汎用的な誤差評価手法の開発については,1970年代のJ.A. Nitsche, A.H. Schatz, L.B. Wahlbinを含む先駆者の研究以来,多くの貢献がなされ,現在では標準的な証明法が確立されたと言える状況にある.一方で,有限要素法で滑らかな領域(曲がった境界を持つ領域)を扱う際は,多角形や多面体領域で近似した上で三角形分割・有限要素空間の導入・定式化を行うのが最も基本的であるが,そのような領域近似(領域摂動)に伴う誤差を考慮した厳密な$L^\infty$誤差解析は,斉次ディリクレ境界条件の場合しか知られていないと思われる.本講演では,ポアソン方程式と熱方程式の非斉次ノイマン問題に対して,領域摂動誤差を考慮した$L^\infty$誤差評価を考察し,$O(h^2 |\log h|)$すなわち領域摂動なしのP1要素の場合と同等の評価が得られたことを報告する.証明の鍵は,汎用的な誤差評価手法において複数回用いられるガラーキン直交性が厳密には成立しなくなるものの,メッシュサイズが0になる極限のもとで漸近的に成り立つことを領域摂動評価を用いて示す点にある.