東京名古屋代数セミナー

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担当者 阿部 紀行、Aaron Chan、伊山 修、行田 康晃、中岡 宏行、高橋 亮
セミナーURL http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~aaron.chan/TNAseminar.html

2023年07月07日(金)

15:00-16:30   オンライン開催
浅芝 秀人 氏 (静岡大学・京都大学高等研究院・大阪公立大学数学研究所)
クイバー表現のパーシステンス加群への応用: 区間加群による近似と分解 (Japanese)
[ 講演概要 ]
位相的データ解析では,入力データーは,d次元ユークリッド空間内の有限個の点からなる集合"点雲" P の形で与えられ,各 r = 0, 1, ..., d に対して,パーシステントホモロジー群H_r(P)が計算される。これはある自然数nに対する,同方向A_n型クイバーQのある体k上の表現になっている。Gabrielの定理より,直既約表現の完全代表系は"区間"表現 V_I (I:= [a,b], 1 ≦ a ≦ b ≦ n)の全体で与えられる。Qの各表現Mに対して,d_M(I)をMの直既約分解におけるV_Iの重複度とすると,列d_M:= (d_M(I))_I は同型のもとでのMの完全不変量になっている。この重複度をkQのAuslander-Reiten quiver上にプロットした図をMのパーシステント図とよぶ。族(H_r(P))_r はPに関する重要な情報を保存し,応用研究で活用されるが,パーシステント図d_{H_r(P)}を用いて,これを解析することができる。次にPが他のパラメーター,例えば時間とともに変化する場合,この方法により2次元パーシステンス加群が定義され,さらに多次元に一般化される。これが位相的データ解析での代数的アプローチの主な研究対象になる。一般にm次元パーシステンス加群はm次元格子の形のクイバーQに関係式を入れた多元環上の加群と理解される。この場合1次元の場合と異なり多元環はほとんどワイルド表現型になるため,リアルタイムで直既約加群の重複度d_Mを計算しそれを比較するのは困難になる。上に述べたもとの意味の区間表現は,Q上の連結かつ凸な部分クイバーを台とする"区間加群"に一般化される。d_Mの代わりにMのこれら区間加群の直和によってMを近似することによりリアルタイム性を保証する方法が考えられる。この講演では2通りの意味の近似を提示しそれらの関係を与える。この講演は,エスカラ,中島,吉脇の各氏との共同研究に基づく。

ミーティングID: 844 0560 1675
パスコード: 381661
[ 講演参考URL ]
http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~aaron.chan/TNAseminar.html