東京確率論セミナー

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開催情報 月曜日 16:00~17:30 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 佐々田槙子、中島秀太(明治大学)、星野壮登(東京科学大学)
セミナーURL https://sites.google.com/view/tokyo-probability-seminar23/

2025年04月28日(月)

16:00-17:30   数理科学研究科棟(駒場) 126号室
15:15〜 2階のコモンルームでTea timeを行います。ぜひこちらにもご参加ください。
檜垣 充朗 氏 (神戸大学)
ランダム粗面領域における粘性流体に対するナヴィエ壁法則
[ 講演概要 ]
粗面を伴う領域における粘性流体運動の有効近似を得る経験的な手法として、工学分野では壁法則が知られてきた [cf. Nikuradse 1933]。筒状粗面領域における定常層流に対しては、壁法則により、ナヴィエ滑り境界条件に従う速度場が得られる (ナヴィエ壁法則)。本講演では、これが実際に有効近似を与えることを数学的に厳密に証明する。より正確には、粗面領域全体の標本空間を考えた際に、ある種のエルゴード性の仮定の下で、最適な近似率が得られることを報告する。証明の鍵は、粗面付近の流体運動を記述する境界層の確定的/確率的評価である。ここで我々は楕円型方程式に対する定量的確率均質化のアイディアを用いる [cf. Armstrong-Smart, Armstrong-Kuusi-Mourrat, Gloria-Neukamm-Otto, Shen]。ただし、係数行列ではなく粗面領域の標本空間を考えていることに注意されたい。なお、上述のエルゴード性としては、確率変数に対する関数不等式 (対数ソボレフ不等式やスペクトルギャップ不等式など) の成立を採用する。本講演の内容は Jinping Zhuge 氏 (Morningside Center of Mathematics, China)、Yulong Lu 氏 (University of Minnesota, USA) との共同研究に基づく。