東京確率論セミナー

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開催情報 月曜日 16:00~17:30 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 佐々田槙子、中島秀太(明治大学)
セミナーURL https://sites.google.com/view/tokyo-probability-seminar23/2024年度

2024年06月17日(月)

15:40-17:45   数理科学研究科棟(駒場) 126号室
講演とTeaTime の開始時間が早くなっています。15:00〜 2階のコモンルームでTea timeを行いますので、ぜひそちらにもご参加ください。
植田健人 氏 (東京大学) 15:40-16:40
非整数ブラウン運動で駆動される確率微分方程式の数値解の漸近展開 (日本語)
[ 講演概要 ]
本研究は非整数ブラウン運動(fBm)で駆動される確率微分方程式の数値解に対する極限定理(漸近誤差)に関する研究である。このfBmおよびそれによって駆動される方程式は非マルコフな時系列モデルとして用いられ、その数値解に対する極限定理は数学的興味のほか、数値シミュレーションの誤差の推定への応用が期待される。数値解の極限定理は駆動するfBmが1次元か否か、また1次元ならドリフト項が存在するか否か、さらにfBmのハースト指数、そして対象とする数値解法によって定理の主張も適用できる証明法も異なり、そのために条件ごとに様々な先行研究が存在する。このうち、本研究は1次元かつドリフト項が存在する場合に誤差分布の導出と正当化を行ったものであり、一般の数値解法に適用できる。同範囲の先行研究では高次ミルシュタイン法、クランク-ニコルソン法に対してハースト指数が1/3より大きい場合に関して漸近誤差を特定できるが、本研究では高次ミルシュタイン法の漸近誤差を任意のハースト指数に対して完全に決定するとともに、クランク-ニコルソン法に対してもハースト指数が1/4以上の場合に漸近誤差を特定している。なお、本講演では導出した誤差分布を視覚的に観察し、漸近誤差への直観的な理解を深められるよう、漸近誤差に対する数値実験の結果を詳しく説明する。
竹内裕隆 氏 (慶應義塾大学) 16:45-17:45
Homogenization results for reflecting diffusions in a continuum percolation cluster (日本語)
[ 講演概要 ]
アブストラクト: ランダム媒質の研究において均一化は重要な問題の一つである. 均一化はいくつかの定式化が知られている, 本講演ではランダム媒質上の確率過程に関する極限定理であるquenched invariance principleと, その精密化である局所中心極限定理を考える. この様な定式化について, 離散的なモデルの場合には多くの結果が知られている. 連続的なモデルに関しても, random environment 上の拡散過程に関する結果は多く知られている. 一方拡散過程が反射壁を持つ場合に関しては, 境界の影響等により問題が複雑化するためquenchedな結果は知られていなかった. 本講演では連続パーコレーションが幾何的な条件を満たす場合, その上の反射壁を持つ拡散過程に関してquenched invariance principleと局所中心極限定理が成り立つという結果を紹介する.