東京確率論セミナー

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開催情報 月曜日 16:00~17:30 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 佐々田槙子、中島秀太(明治大学)
セミナーURL https://sites.google.com/view/tokyo-probability-seminar23/2024年度

2023年06月05日(月)

17:00-18:30   数理科学研究科棟(駒場) 126号室
福山克司 氏 (神戸大学)
大きな公比を持つ等比数列の差異量の重複対数の法則について (日本語)
[ 講演概要 ]
1より大きい公比を持つ等比数列の小数部分は、ほとんどすべての初期値に対して一様分布することが知られている。その経験分布函数と一様分布の分布函数の差をsup ノルムで図ったものが差異量(discrepancy) である。ほとんどすべての初期値に対して差異量は0に収束するが、さらに重複大数の法則に従う。ここで上極限として現れる定数は公比の代数的性質を反映した量になっており、公比が有理数の冪根でない場合は定数は1/2 となり一様分布独立確率変数の差異量と同じ挙動となる。また、公比が有理数の冪根である場合はそれが何乗根であるかにかかわらず定数は有理数にのみ依存して定まる。この有理数の分子分母がともに奇数の場合には定数は容易に求まるが、偶数を含む場合は状況が複雑である。以前、定数を記述する公式を与え大きい有理数に対してこれを証明し、また小さい有理数で公式が成立しない例を複数与えた。この公式の成立の閾値に関してかなり精密な結果が得られたのでそれについて報告する。