数値解析セミナー

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開催情報 火曜日 16:30~18:00 数理科学研究科棟(駒場) 002号室
担当者 齊藤宣一、柏原崇人
セミナーURL https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/utnas-bulletin-board/

2017年04月11日(火)

16:50-18:20   数理科学研究科棟(駒場) 002号室
内海晋弥 氏 (早稲田大学基幹理工学部)
Lagrange-Galerkin 法における諸問題とその解決策:計算可能性・粘性係数依存性・流入境界条件 (日本語)
[ 講演概要 ]
Lagrange-Galerkin法(LG法)は移流拡散問題,オセーン問題,ナヴィエ・ストークス問題などの流れ問題に対する強力な数値計算手法である.本講演では本手法に現れる諸問題とその解決策を述べる.以下の3部から成る.

(1) LGスキームの理論と実装の間には乖離が存在していた.スキームに現れる合成関数項を厳密に計算することは困難である一方,誤差評価はそれが厳密に計算されるという仮定の下でなされていた.最近我々は,ナヴィエ・ストークス問題のための,厳密に計算でき,かつ,数値解の厳密解への収束性が数学的に証明できるLGスキームを作成し,収束性を示した.本パートでは,このスキームについて述べる.

(2) 上記スキームでは,時間刻みと空間メッシュサイズに関して最適オーダーでの誤差評価が得られるが,定数には粘性係数依存性が現れる.この依存性は,ナヴィエ・ストークス問題のみならず,より簡単なストークス問題にも現れる.Pk/Pk要素を用い,適切な安定化項を加えたスキームは,Pk/Pk−1要素を用いたスキームと比較して,粘性係数依存性が改善できることが示されている.本パートではオセーン問題に対してその誤差評価を述べる.

(3) LGスキームにおける解析では,ほとんどの場合,流速が境界で0という条件が課されていた.講演者の知る限り,流入境界条件を持つ問題に対して,収束性は示されていない.本パートでは,流入境界条件を持つ移流拡散問題に対するあるスキームを提案し,その収束性を述べる.

(1) は田端正久先生との,(3) はH. Egger先生(ダルムシュタット工科大学)との共同研究である.