東京確率論セミナー

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開催情報 月曜日 16:00~17:30 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 佐々田 槙子, 久保田 直樹 (日本大学), 阿部 圭宏 (学習院大学)

2018年01月22日(月)

16:00-17:30   数理科学研究科棟(駒場) 号室
早稲田大学 西早稲田キャンパス 51 号館 18 階 06 室 での開催となります。
佐々田 槙子 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
ランダムな初期状態をもつ箱玉系とPitmanの定理 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
箱玉系は1990年に高橋-薩摩によって導入されたソリトン的なふるまいを示すセルオートマトンである。その後、箱玉系はKdV方程式や可解格子模型と密接に関係していることが明らかになり、様々な方向からの研究が行われ、また多くの拡張モデルも提案されてきた。箱玉系は$\{0,1\}^{\mathbb{N}}$上の有限個の粒子をもつ配置に対する決定論的な力学系として定式化できる。近年、P. Ferrariらが、$\{0,1\}^{\mathbb{Z}}$上の無限個の粒子をもつ配置に対して箱玉系の定義域を拡張し、ランダムな初期分布の元での系のふるまいの研究を行った。特に彼らは、期待値が$1/2$未満のベルヌーイ直積分布がこの箱玉系の不変分布となることを示し、さらに一般の不変分布について、よいミキシングのもとでは、ソリトンのサイズに応じた直積分解を持つことを示した。
本研究では、箱玉系の状態空間をシンプルランダムウォークのパスの空間に変換することで、無限個の粒子を持つ箱玉系について様々な解析を行った。まず、箱玉系が定義される配置を決定し、さらに系が可逆になるクラス、さらに可逆かつ不変になるクラスの決定を行った。さらに、$\{0,1\}^{\mathbb{Z}}$上の確率測度が不変分布になるための十分条件を与え、ベルヌーイ直積分布を含むいくつかのクラスの確率測度がこの条件を満たすことを示した。さらに、原点でのカレント、tagged particleの漸近挙動についても、いくつかの不変分布の元で解析を行った。さらに、シンプルランダムウォークに対する極限定理によって自然に現れる「$\mathbb{R}$上の箱玉系」を導入した。これは、ブラウン運動に対するピットマンの定理に現れる変換そのものである。$\mathbb{Z}$上の結果からの自然な拡張として、正のドリフト付きのブラウン運動が、$\mathbb{R}$
上の箱玉系の不変分布となることが示されるが、これにより両側無限の場合のピットマンの変換に対する不変分布であることも得られた。
本研究はDavid Croydon氏、加藤毅氏、辻本諭氏との共同研究である。