日仏数学拠点FJ-LMIセミナー

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担当者 小林俊行, ミカエル ペブズナー

2026年01月14日(水)

15:00-17:00   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
Thomas Karam 氏 (上海交通大学)
情報理論から純粋数学への寄与 (英語)
[ 講演概要 ]
講義の内容:1948年にシャノンによって創始された情報理論は、当初は通信工学を動機としていたが、その後、機械学習やニューラルネットワークなどを含む人工知能の主要なアプローチにおいて重要な役割を占めるまでに発展した。講義1では、シャノンエントロピーの起源と定義、およびその定義へと自然に導く2つのアプローチについて論じる。講義2では、ランダム変数のシャノンエントロピー以外の主要な中心的情報量の定義と、それらが満たす主要な恒等式と不等式を扱う。講義3では、これらの結果を特殊化することで、群の次元、線形空間の次元、集合の大きさに関する標準的な恒等式および不等式の多くを導く。
その後、講義4・5・6・7では、基本的な情報理論が純粋数学の各分野におけるいくつかの結果に対し、初めての証明や新たな示唆に富む証明を与えた方法をそれぞれ紹介する。確率論では、中心極限定理のエントロピーによる証明と、シャノンエントロピーと熱力学的エントロピーの根底にある類似性を取り上げる。
幾何学では、特にShearerの補題(1986)および射影による集合の大きさの制御を通じ、高次元幾何学への応用を探る。純粋組合せ論では、集合族の和集合閉性をめぐる有名なFrankl(1979)の予想に対するGilmer(2022)のブレークスルーに焦点を当てる。組合せ数論では、この分野の中心的問題の一つであるMartonの予想に対するGowers, Green, Manners, Tao(2024)による解決を概説する。
2025年の京都賞の対象となった「情報幾何」は第8講で触れます。そして、シャノン氏もおそらくそうしたであろうように、ニューラル ネットワークへのその実際的な応用をいくつか紹介して締めくくります。
[ 講演参考URL ]
https://fj-lmi.cnrs.fr/seminars/