応用解析セミナー
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開催情報 | 木曜日 16:00~17:30 数理科学研究科棟(駒場) 002号室 |
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担当者 | 石毛 和弘 |
2015年06月11日(木)
16:00-17:30 数理科学研究科棟(駒場) 128号室
横田智巳 氏 (東京理科大学理学部第一部数学科)
準線形退化放物・放物型Keller-Segel 系の時間大域的弱解の存在と有界性: 最大正則性原理からのアプローチ (Japanese)
横田智巳 氏 (東京理科大学理学部第一部数学科)
準線形退化放物・放物型Keller-Segel 系の時間大域的弱解の存在と有界性: 最大正則性原理からのアプローチ (Japanese)
[ 講演概要 ]
本研究は石田祥子氏(東京理科大学)との共同研究によるものである. Keller-Segel系は細胞性粘菌の集中現象を記述するモデルとして知られており, 近年盛んに研究されている. 本講演では, 拡散と集中を表す項を準線形化した次の方程式系の初期値問題を考える:
ut=Δum−∇⋅(uq−1∇v),
vt=Δv−v+u.
ここで, m≥1, q≥2 とする. この問題に対する時間大域的弱解の存在については, 最初にSugiyama-Kunii (2006)によって q≤m という条件が提示され, その後Ishida-Yokota (2012)によって最大正則性原理を用いたアプローチによりq<m+2/N (Nは空間次元)という条件下で示された. しかし, これらの研究において, 解の時間大域的な挙動の解明という観点から重要である「解の有界性」は未解決のまま残されている. なお, q<m+2/N という条件は, m=1, q=2のときに対応する通常のKeller-Segel系に対する研究から, 初期値の大きさに制限なく時間大域的弱解の存在が言える条件としては最良であると考えられる. 有界領域上のNeumann問題に対しては, Tao-Winkler (2012), Ishida-Seki-Yokota (2014)によって同様の条件の下で時間大域解の存在だけでなく解の有界性まで示されているが, Gagliardo-Nirenbergの補間不等式を繰り返し用いるために計算が複雑であり, 証明の見通しが良いとは言い難い. 本講演では, 特別な場合に対するSenba-Suzuki (2006)の方法を参考に, Ishida-Yokota (2012)による最大正則性原理を用いるアプローチに小さな修正を施すことによって, 解の有界性が容易に導かれることを示す.
本研究は石田祥子氏(東京理科大学)との共同研究によるものである. Keller-Segel系は細胞性粘菌の集中現象を記述するモデルとして知られており, 近年盛んに研究されている. 本講演では, 拡散と集中を表す項を準線形化した次の方程式系の初期値問題を考える:
ut=Δum−∇⋅(uq−1∇v),
vt=Δv−v+u.
ここで, m≥1, q≥2 とする. この問題に対する時間大域的弱解の存在については, 最初にSugiyama-Kunii (2006)によって q≤m という条件が提示され, その後Ishida-Yokota (2012)によって最大正則性原理を用いたアプローチによりq<m+2/N (Nは空間次元)という条件下で示された. しかし, これらの研究において, 解の時間大域的な挙動の解明という観点から重要である「解の有界性」は未解決のまま残されている. なお, q<m+2/N という条件は, m=1, q=2のときに対応する通常のKeller-Segel系に対する研究から, 初期値の大きさに制限なく時間大域的弱解の存在が言える条件としては最良であると考えられる. 有界領域上のNeumann問題に対しては, Tao-Winkler (2012), Ishida-Seki-Yokota (2014)によって同様の条件の下で時間大域解の存在だけでなく解の有界性まで示されているが, Gagliardo-Nirenbergの補間不等式を繰り返し用いるために計算が複雑であり, 証明の見通しが良いとは言い難い. 本講演では, 特別な場合に対するSenba-Suzuki (2006)の方法を参考に, Ishida-Yokota (2012)による最大正則性原理を用いるアプローチに小さな修正を施すことによって, 解の有界性が容易に導かれることを示す.