代数幾何学セミナー

過去の記録 ~07/21次回の予定今後の予定 07/22~

開催情報 金曜日 13:30~15:00 数理科学研究科棟(駒場) ハイブリッド開催/117号室
担当者 權業 善範、中村 勇哉、田中 公

2009年07月06日(月)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 126号室
柳田 伸太郎 氏 (神戸大学理学研究科)
アーベル曲面上の安定層とフーリエ向井変換について
[ 講演概要 ]
今回の講演は吉岡康太との共同研究に基づくものである. 研究の発端は, 向井茂が1980年前後(フーリエ向井変換の発見前後)に考察し, 当時の講演記録に書き残した主張や予想の解読にある.
本研究は, 大まかに言うと, 半等質層とフーリエ向井変換を用いて, アーベル曲面上の安定層のモジュライ空間の構造を調べるというものである.
アーベル曲面上には半等質層と呼ばれる半安定層があり, その分類, 構成方法やコホモロジーが完全に知られている. アーベル曲面のフーリエ向井対は半等質層のモジュライ空間であることも知られている.
今回の研究はこの半等質層をbulding blockとして一般の安定層を構成することを考える. その際に"semi-homogeneous presentation"という概念が必要になる. これはアーベル曲面上の安定層の半等質層によるある種の分解のことである. 曲面のピカール数が1の時, この種の分解の存在が安定層のチャーン指標のみを用いて判定できる.
また安定層のフーリエ変換における振舞いの記述において, 算術群や整数係数2次形式が重要な役割を果たすことも分かる. この事と先に述べた表示の存在から, 安定層のモジュライとアーベル曲面上の点のヒルベルトスキームとの間の双有理変換が明示的に構成できる.
アーベル曲面のフーリエ向井変換のフォーマリズムはK3曲面の変換と共通する部分も少なくない. 講演ではそうした点にも触れつつ, 今回の結果とその証明の概要を解説したい.