数学科のカリキュラム

カリキュラムの説明全体について

最初に、各学年の対象科目の概略を述べ,その後に講義全体やセミナーについて説明する。

1.各学年での科目名とその内容

まず、第4学期以降の授業について、各学期別に記述する。
主として全ての3年生をを対象とする第6学期まで必修の講義と違い、第6学期の選択科目や4年生などを対象とする第7学期の講義の一部と第8学期の諸講義は、同じ名称であっても年度により内容が大きく異なることがある。

第4学期(2年生の冬学期)

  • 必修科目「代数と幾何」、「同演習」
    内容:線型代数学のより進んだ理論、例えばジョルダン標準形、多重線型代数など)
  • 必修科目「集合と位相」、「同演習」
    内容:集合論と位相空間論の基礎的な諸概念と基礎的な諸結果
  • 必修科目「複素解析学 I ]、「同演習」
    内容:一変数複素関数論の入門的な部分、コーシーの諸定理など。

各科目の「演習」は、講義の理解を深めることと、補足するために行う。これらの4学期の講義の内容は、3年生以降の講義・演習・セミナーについていくために不可欠である。単に単位を取得する以上の内容の理解が求められる。

第5学期(3年生の夏学期)

  • 必修科目「代数学 I 」、「代数学特別演習 I 」
    内容:群論と環論の入門
  • 必修科目「幾何学 I 」、「幾何学特別演習 I 」
    内容:多様体論の入門
  • 必修科目「解析学 IV 」、「解析学特別演習 I 」
    内容:ルベーグ測度と積分
  • 必修科目「複素解析学 II 」、「複素解析学特別演習」
    内容:第4学期の「I」に引き続きより進んだ内容を扱う
  • 選択必修科目「計算数理I」、「同演習」
    内容:数値計算の基礎
  • 「計算数学I」
    内容:計算情報環境の構築に関する演習

第6学期(3年生の冬学期)

  • 選択必修「代数学 II 」、「代数学特別演習 II 」
    内容:環と加群、つまり基礎的な環論.主イデアル環上の有限生成加群など.
  • 選択必修「代数学 III 」
    内容:ガロア理論とそれに関連する主題
  • 選択必修「幾何学 II 」、「幾何学特別演習 II 」
    内容:位相幾何学の初歩(ホモロジー群、コホモロジー群、ホモトピー群)
  • 選択必修「幾何学 III 」
    内容:ベクトル場と微分形式
  • 選択必修「解析学 V 」
    内容:微分方程式論の初歩
  • 選択必修「解析学 VI 」
    内容:フーリエ変換、超関数
  • 選択必修「解析学特別演習 II 」
    内容:書類上は、上記の「解析学」の「V」または「VI」のどちらかに付帯することになっているが、事実上は共通の演習として運用されている.
  • 選択必修「現象数理I」
    内容:数理解析学概論
  • 選択必修「確率統計学I」
    内容:確率論の基礎
  • 「計算数学II」
    内容:計算情報環境の構築に関するより進んだ演習
  • 「数学輪講」
    内容:教員推薦のテキストから選択して行う自主ゼミ.単位認定は推薦した教員による、期末の口頭試験などをもって行う.

第7学期

  • 必修科目「数学講究XA」
    内容:指導教員のもとで小人数のセミナーを行う。
  • 必修科目「数学講究XB」
    内容:現代数学概説
  • 選択必修「解析学VII」
    内容:関数解析
  • 選択必修「計算数理II」
    内容:偏微分方程式の数値解析
  • 選択必修「現象数理II」
    内容:年によって異なる.例えば「非線型現象と数理解析」や「数理物理学」など

第8学期

  • 必修科目「数学特別講究」
    内容:指導教員のもとで、個別指導を受ける。
  • 選択必修「現象数理III」
    内容:年によって異なる。「量子論と数理物理学」や「非線型現象」など.

以上のほか、第7学期・第8学期には「数学続論XA~XH」などの科目名で、各種のトピックスに関する講義が行われるが、これについては内容・開講数は年度ごとに発表される.この中には毎年、数科目は比較的「古典的」で基礎的な内容の講義がある.これについてはすぐ後で説明する。

また「数理科学続論A~F」では、最新のトピックスについての講義が行われる.

2.講義の水準について

数理科学研究科では所属する教員が担当するすべての数学・数理科学の授業(前期課程,理学部数学科,教養学部基礎科学科数理コース)に対し数理分類番号を割当て,シラバスに記す事により,前期課程から大学院までの多様な学生の数学・数理科学授業選択の分かり易い指針を与えている。

数理分類番号は3桁の数字からなり,その意味は以下の通りである。
  100の位の数字:授業の水準を表す番号で数理水準番号という。
  10の位の数字:授業内容の分野を表す番号で数理分野番号という。
  1の位の数字:300から500番台の基本的な内容の授業には1から9までの数字が重複なく割り当てられている。それ以外の授業には0が割り当てられている。

数理水準番号
  100番:前期課程講義科目。第1~4学期に実施。
  200番:100番の講義に付随する演習・セミナー,第1,2,3学期に実施。
  300番:基礎的知識に関する講義,第4,5,6学期に実施。
  400番:300番の講義に付随する演習・セミナー,第4,5,6学期に実施。
  500番:専門的基礎知識に関する講義。第7,8学期,M1, M2に実施。
  600番:4年,修士課程のセミナー。第7,8学期,M1, M2に実施。
  700番:高度な専門的トピックスに関する講義。
  800番:大学院博士後期課程のセミナー。

数理分野番号
  数学一般(00番) 代数学(10番) 幾何学(20番) 解析学(30番) 確率統計(40番) 計算数理(50番) 現象数理(60番) 社会数理(70番) 数学基礎論(80番) 数学史その他(90番)

注:700番台の講義の下2桁は担当教員等によって年により変わる事があるので注意すること。

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3.数学輪講・数学講究について

第6学期の数学輪講について


趣旨:数理科学に関する自主的な学習を促し,早い時期から専門知識を 獲得させる.
内容:指定された基本的テキストの中から一つを選び,数人の受講者のグループで定期的に講読する.
成績評価:該当テキストの担当教員が期末に口頭試験を行い,総合的に評価する.

 

第7、8学期の数学講究XA,数学特別講究について


趣旨:数理科学に関する基礎知識と理解を深め,応用力を涵養する.
内容:数理科学における基本的テキストを選んで指導教員のもとで定期的に講読を行う,数学科におけるもっとも重要な科目である.
成績評価:出席状況と学習の到達度を基にした総合的判断により行われる.
備考:この科目を受講するためにはその時点での必修科目取得状況に関する要件が課せられている.

 

第7学期の数学講究XBについて

趣旨:数理科学における最前線の様々な話題を見聞し,専門にとらわれない多方面の知識を得る.
内容:数学科教員が交代で数理科学の概説を行う(オムニバス形式).
成績評価:出席状況と期末のレポートによる.