坂 井 秀 隆 (SAKAI Hidetaka)

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講   座 離散数理学大講座 准教授
研究分野 特殊関数,常微分方程式,可積分系
研究テーマ
パンルヴェ方程式およびその多変数あるいは離散方程式への拡張
研究概要

複素領域における微分方程式,差分方程式の研究を,とくに,特殊函数論,可積分系の理論という観点から行っている.十九世紀に中心的主題であった楕円函数論,超幾何函数論で扱われていたよ うな手法や問題意識を,非線形常微分方程式や偏微分方程式,差分方程式によって定義されるような函数に適用しようということを目的として いる.
この分野で目標とされる問題としては,1.方程式の対称性, 2.特殊解の構造,3.解の解析接続 (接続問題), 4.超越性 (初等函数などに帰着できないということ) を示す (既約性問題),そして出来うるならば,5.解の具体的表示を得る,というようなことが挙げられる.また,函数自体の性質とは別に,ある性質を充たす方程式の分類問題なども,今まで知 られている範囲の拡張を目指す意味でも,重要な問題である.
わたし自身は,代数幾何的な観点から,パンルヴェ微分方程式を含む或る種の可積分系の特徴づけを行っている.パンルヴェ微分方程式やその離散類似,あるいはその多変数化などについては,初期値空間と呼ばれる幾何学的対象を構成することができ,それを調べることでいろいろな性質を理解することができる.この考え方を押し進めることで,従来より知られている可積分系の様々な性質や,さらにできるならば新しい現象も視野にいれて,幾何学的に整理された理論を目指していきたい.

主要論文
  1. "Rational surfaces associated with affine root systems and geometry of the Painlevé equations'', Commun. Math. Phys. 220 (2001) 165--229.
  2. "A q-analog of the sixth Painlevé equation", M. Jimbo and H. Sakai, Lett. Math. Phys. 38 (1996), 145--154.
  3. "Folding transformations of the Painlevé equations'', T. Tsuda, K. Okamoto and H. Sakai, Math. Annalen 331 (2005) 713--738.
  4. "A q-analog of the Garnier system'', Funkcial. Ekvac. 48 (2005) 273--297.
  5. " Studies on the Painlevé equations, V", Y. Ohyama, H. Kawamuko, H. Sakai and K. Okamoto, J. Math. Sci. Univ. Tokyo 13 (2006) 145--204.
学会 日本数学会
受賞 日本数学会建部賢弘奨励賞(1999年)