調和解析駒場セミナー

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開催情報 土曜日 13:00~18:00 数理科学研究科棟(駒場) 128号室
担当者 小林政晴(北海道大学), 筒井容平(信州大学), 澤野嘉宏(首都大学東京), 寺澤祐高(名古屋大学), 田中仁(東京大学), 古谷康雄(東海大学), 宮地晶彦(東京女子大学)
備考 このセミナーは,月に1度程度,不定期に開催されます.

2016年01月09日(土)

13:00-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 128号室
田中 仁 氏 (東京大学) 13:30-15:00
The n linear embedding theorem
(日本語)
[ 講演概要 ]
実関数論の方法による調和解析の分野において,2進立方体を用いた解析は長い歴史を持ち,豊かな内容を持っています.
しかし,それは単純なモデルを与え,それゆえ実験的な考察のための,もしくは最良の定数を決定するための,補助的なものとしての位置づけのみをこれまで与えられてきたように思われます.
ところが,この分野で基本的かつ重要な作用素の一つである特異積分作用素が,この2進立方体が作る正作用素の族によって,各点において支配されることが発見され,2進立方体を用いた解析はその重要性が再認識されるようになりました.
本講演では,この2進立方体が作る加重付多重正作用素の有界性を保証する「n重線形埋蔵定理」について紹介します.
平田賢太郎 氏 (広島大学) 15:30-17:00
An improved growth estimate for positive solutions of a semilinear heat equation in a Lipschitz domain
(日本語)
[ 講演概要 ]
2007年にPolacik-Quittner-Soupletは,任意の領域において半線形熱方程式$u_t-\Delta u=u^p$の正値解に対して初期時刻,爆発時刻,領域の境界付近の増大度に関する先験的評価を与えた.
爆発時刻における増大度は最良であるが,初期時刻および領域の境界付近での増大度は最良ではない.
本講演では,調和関数の評価,放物型ポテンシャル論の結果や熱核評価を上手く用いると,$p$が$1$に近い時にはLipschitz領域上の正値解に対してもっと良い評価が得られることを報告する.