数理人口学・数理生物学セミナー

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2020年10月07日(水)

16:00-17:00   数理科学研究科棟(駒場) 号室
zoomによるオンラインセミナーです.
並木正夫 氏 ( 元(株)東芝 取締役・代表執行役副社長)
実効SIQRモデルによる第3波予測の方法 (日本語)
[ 講演概要 ]
SIQRモデルに実効感染機会人口の概念を取り入れ,この実効感染機会人口は感染の拡大と共に変化して行くとし,これを実効SIQRモデル(Effective SIQR Model)とした.このモデルで計算すると,時間の経過と共に未感染人口Sが減少するが,それ以上に実効感染機会人口Nが増加すると,感染しきい値が1よりも大きくなり,第1波が収まったように見えた後でも,再び感染が拡大し始める.このモデルによる計算結果が第1波と第2波のデータに合うように実効感染機会人口変化の曲線を求め,次に,この曲線を使って第2波のデータでフィッティングを行って第3波の予測をする試みを行った.新型コロナウイルスの感染では,数理モデルの個々の係数を同定するデータ採集には種々制約があり真値は殆ど不明であるので,本論で論じるのは,あくまでも予測計算のためのデータ・フィッティングに関することで,真値に基づいたシミュレーションをしている訳ではない.しかし,感染者のデータは真値を反映したものであるから,データ・フィッティングの結果は感染者や隔離療養者,入院者および重症者の予測や,感染の定性的な理解に活用できる.