数理人口学・数理生物学セミナー

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2014年06月11日(水)

14:50-16:20   数理科学研究科棟(駒場) 128号室
小林 徹也 氏 (東京大学生産技術研究所 統合バイオメディカル国際研究センター)
個体群ダイナミクスの経路積分表現と変分構造 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
個体群動態の理論は、人口学や生態学、進化生物学などの分野において長い研究の歴史がある。この理論は近年、バクテリア等を用いた進化実験などが可能になったことや、免疫・ウィルスの生体内動態を計測できるようになったことを受け、システム生物学などのミクロな細胞を対象にする分野でも大きく注目されている。特に細胞生物学では、細胞の持つシグナル伝達系などの環境応答などが研究されてきたこともあり、シグナル伝達系による個々の細胞の振る舞いが個体群の振る舞いや増殖に及ぼす影響に関心が集まっている。また、実験的に個々の細胞の状態を追跡する技術も登場したことにより、それらの情報を活用するためにも、系譜の振る舞いと集団の振る舞いを統合して理解・解析することが求められている。
本研究ではこのような背景を受け、まず経路積分形式に基づく個体群ダイナミクスについての記述を導入する。経路上の測度に注目することにより、ダイナミクスに内在する変分構造や関連する幾何学的関係を明らかにする。この構造を用いて、個体群の選択過程における新たな見方を提案するとともに、変動環境に対する集団の応答性と集団増殖率の間に成り立つ一般的な関係を明らかにする。
本研究は、杉山 友規氏との共同研究である。