数理人口学・数理生物学セミナー

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2010年04月19日(月)

16:30-18:00   数理科学研究科棟(駒場) 056号室
波江野 洋 氏 (Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)
骨髄増殖性疾患の起源細胞に関する数理的研究 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
血液細胞には赤血球や白血球など多くの種類があるが、全ての細胞は自己
複製能と分化能を持つ造血幹細胞から作られている。幹細胞はがん細胞の
特徴の1つである自己複製能を既に有していることを理由に、これまで多
くの研究者の間で、造血幹細胞から白血病が起こると考えられてきた。そ
こで、幹細胞集団とそれが分化してできる自己複製能を持たない前駆細胞
集団を統合したモデルを構築した。白血病の一種である骨髄増殖性疾患に
は細胞の異常増殖を引き起こす特有の突然変異(JAK2V617F)が知られてお
り、この突然変異と、前駆細胞に自己複製能を与える特定の突然変異を仮
定し、幹細胞・前駆細胞のどちらからがんが生まれ易いかを理論的に調べ
た。実験から得られた現実的なパラメータを用いた結果、幹細胞に比べて
前駆細胞からがん細胞が生じる確率が非常に高いことを示した。