統計数学セミナー

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担当者 吉田朋広、増田弘毅、荻原哲平、小池祐太
セミナーURL http://www.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/~kamatani/statseminar/
目的 確率統計学およびその関連領域に関する研究発表, 研究紹介を行う.

2024年07月23日(火)

15:00-16:10   数理科学研究科棟(駒場) 118号室
ハイブリッド開催
田栗 正隆 氏 (東京医科大学医療データサイエンス分野)
近似的な多重頑健推定量を用いた時間依存性交絡の調整 (日本語)
[ 講演概要 ]
医学分野の実臨床においては、血圧の値を経時的に評価してその結果次第で降圧薬の投与の有無を決めるといったように、共変量が過去の治療の影響を受けて変化しさらに将来の治療に影響を与えるという状況が生じうる。このような時間依存性交絡が生じる状況では、通常の回帰モデル等による解析では、求めたい治療の因果効果に対してバイアスが生じてしまうことが知られている。この問題に対して、Bang and Robins (2005) は期待値の繰り返しに基づくAIPW(Augmented Inverse Probability Weighting)推定量を提案した。近年、この推定量はデータに仮定する複数のモデル誤特定に対する多重頑健性を持つことが示されている(Díaz et al., 2023)。しかしながら、この手法は本質的にIPWを用いた重み付き推定を行うものであり、重みのバラツキが大きい状況では推定精度が悪くなるという欠点がある。本研究では、IPWの層別化を利用した近似的な多重頑健推定量を提案する。提案手法は、点治療の状況で論じられている傾向スコア層別と回帰モデルを組み合わせる方法の拡張とみなすことができる。提案する手法の性能をシミュレーション実験により評価した結果を報告する。
[ 参考URL ]
https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tZcocOGgrDIpHtIPBLecsHgqaY6tjuNB4Voc