数理人口学・数理生物学セミナー

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2017年05月11日(木)

16:30-17:30   数理科学研究科棟(駒場) 126号室
大泉嶺 氏 (国立社会保障・人口問題研究所)
環境変動と個体差の構造人口模型~2重のランダムネスにおける最適戦略の進化~ (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
環境変動に対する生物の可塑性や,ロバストネス,個体の多様性の適応は最適戦
略として進化してきたと考えられている.その論拠の中に,Markov過程を基礎に
置くモデルにおいて,環境変動が適応度を減衰させることや,集団の絶滅を引き
起こすことが挙げられる.その中でも特にランダム推移行列モデルを基礎とした
研究は,生活史と観測データを両方ともに扱えることから理論研究のみならず実
証研究に多くの影響を及ぼしきた.例えば,環境変動(外的不確実性)による適
応度の減少を個々の種がどのような生活史戦略をもって適応しているかといった
議論である.これらの議論の根底にあるのものは,ランダム推移行列の固有値に
関する摂動展開がその平均行列の固有値と左右固有ベクトルによって表現できる
事から,生活史パラメータと環境変動リスクの因果関係が評価できることにある.
 一方,個体の多様性には遺伝子疾患や性的優位などの異質性は環境変動とは別
の(内的)不確実性がある,この中で最適生活史スケジュールを考えるには確率
論を含む制御理論が必要である.推移行列モデルと制御理論を統一して生活史進
化と個体群動態を議論する為には,推移行列モデルに対応する偏微分方程式モデ
ルを見つける必要がある.本研究ではまず著者が研究してきた個体の多様性を表
現する偏微分方程式モデルと,確率制御理論による最適生活史スケジュール問題
を統一した研究を紹介する.さらに、前述の摂動展開理論の連続バージョンへの
拡張とそれを用いた具体的なモデルによる環境変動における個体の多様性の進化
を議論したい.