数理人口学・数理生物学セミナー
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2013年01月15日(火)
14:00-16:00 数理科学研究科棟(駒場) 152号室
中田氏の講演と連続しておこなわれます。
中岡慎治 氏 (理化学研究所)
世代拡大モデルを用いた短期細胞増殖過程の定式化 (JAPANESE)
中田氏の講演と連続しておこなわれます。
中岡慎治 氏 (理化学研究所)
世代拡大モデルを用いた短期細胞増殖過程の定式化 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
CFSE と呼ばれる蛍光色素で標識した細胞が分裂時に蛍光強度が半減する性質を
利用することで、分裂回数毎にラベルした細胞増殖の定量的な計測が可能とな
る。抗原 刺激を与えたナイーブ T 細胞の増殖過程を CSFE 標識して経時的に蛍
光強度を計測した実験データを元に、T 細胞の短期間の増殖過程を定量的に記述
する数理モデルがこれまでにいくつか提案されてきた。ここでは、数学的な部分
に焦点を当てた研究について紹介する。 本研究では、既存の定量的数理モデル
のいくつかが、数理人口学で発展してきたパリティ拡大モデルをベースに構築し
た世代拡大モデル (generation progression model) の特別な場合に帰着できる
ことを示す。世代拡大モデルは分裂回数をステージとした再生方程式系によって
記述されるが、細胞分裂の発生確率と生存確率の時間 分布に関する仮定を変え
ることで、既存モデルを複数導出できる。加えて、基本再生産数と同様の解釈が
可能な世代拡大比が自然に導出される。世 代拡大比を計算することで、たとえ
ば一細胞レベルで細胞分裂と細胞死を経時的に計測した実験データから分裂毎の
平均的な増殖比率を計算できる ようになる。本研究でご紹介する方法論は、短
期間における細胞増殖のダイナミクスを定量的に追跡するための数理手法である
が、最後に計測可能 な量から計測が難しい幹細胞の自己複製や細胞死の起こる
率を推定するための枠組みへどう発展させていくかに関して、今後の展望を述べ
たい。
CFSE と呼ばれる蛍光色素で標識した細胞が分裂時に蛍光強度が半減する性質を
利用することで、分裂回数毎にラベルした細胞増殖の定量的な計測が可能とな
る。抗原 刺激を与えたナイーブ T 細胞の増殖過程を CSFE 標識して経時的に蛍
光強度を計測した実験データを元に、T 細胞の短期間の増殖過程を定量的に記述
する数理モデルがこれまでにいくつか提案されてきた。ここでは、数学的な部分
に焦点を当てた研究について紹介する。 本研究では、既存の定量的数理モデル
のいくつかが、数理人口学で発展してきたパリティ拡大モデルをベースに構築し
た世代拡大モデル (generation progression model) の特別な場合に帰着できる
ことを示す。世代拡大モデルは分裂回数をステージとした再生方程式系によって
記述されるが、細胞分裂の発生確率と生存確率の時間 分布に関する仮定を変え
ることで、既存モデルを複数導出できる。加えて、基本再生産数と同様の解釈が
可能な世代拡大比が自然に導出される。世 代拡大比を計算することで、たとえ
ば一細胞レベルで細胞分裂と細胞死を経時的に計測した実験データから分裂毎の
平均的な増殖比率を計算できる ようになる。本研究でご紹介する方法論は、短
期間における細胞増殖のダイナミクスを定量的に追跡するための数理手法である
が、最後に計測可能 な量から計測が難しい幹細胞の自己複製や細胞死の起こる
率を推定するための枠組みへどう発展させていくかに関して、今後の展望を述べ
たい。