幾何コロキウム

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開催情報 金曜日 10:00~11:30 数理科学研究科棟(駒場) 126号室
担当者 植田一石,金井雅彦,二木昭人
備考 開始時間と開催場所などは変更されることがあるので, セミナーごとにご確認ください.

2012年10月17日(水)

10:30-12:00   数理科学研究科棟(駒場) 128号室
見村万佐人 氏 (東北大学)
p-カジュダン定数と非エクスパンダー族 (JAPANESE)
[ 講演概要 ]
グラフや有限生成群(ケーリーグラフと思う)に道距離を入れて距離空間と思って研究をするとき,基本的な指針の一つが"線型化"することである.より正確には,性質の良いバナッハ空間への良い埋め込みを考えることである.特にヒルベルト空間や一般のl^p空間への埋め込みは大変研究されている.有名な結果として,"エクスパンダー族"がヒルベルト空間やl^p空間に一様埋め込みをもたない,ことが挙げられる.ここで,エクスパンダー族とは,次数が一様有限な有限グラフの族であって,各グラフのスペクトルギャップが下から一様におさえられているようなものである(この条件は,各グラフのチーガー定数が下から一様におさえられていることと同値である).
今回の講演では,有限生成群の族のケーリーグラフから作られるような,"非"エクスパンダー族についての研究をお話しする.有限生成群に対してヒルベルト空間上の表現からカジュダン定数や性質tauに関する定数というものが定義され,ケーリーグラフのスペクトルギャップと関連する.本講演ではl^p空間での一般化を定義し,それらを用いて,上記の設定でのグラフの族のp-スペクトルギャップの減衰の状況を記述する.これにより,上記のグラフの族の距離幾何的な情報を取り出す.主な例は,3以上の整数で番号付けされた群の族(SL_n(Z/k_nZ))_nのケーリーグラフたちである.ここで(k_n)はk_n>2なる整数たちの列であり,ケーリーグラフは各nに対して,標準的な4元からなる生成集合から構成する.この講演は,"ケーリーグラフ"・"エクスパンダー族"・"カジュダン定数"のような基本的な定義から始める予定である.