外国人留学生入学の手引き

Updated: July 4,2024. English version


東京大学大学院数理科学研究科は1992年に発足し、数学および応用数学の研究を行っています。
研究可能な分野については数理科学研究科教員一覧表 および各教員の研究分野を参照してください。

この手引きでは東京大学の総則(東京大学大学院便覧参照)を補足し大学院数理科学研究科における規則を説明しています。

1.課程

数理科学研究科には修士課程と博士課程のふたつがおかれています。入学定員は、修士課程53名、博士課程32名です。
このうち、修士課程は6名程度、博士課程では3名程度の外国人留学生を毎年受け入れています。

数理科学研究科では、外国人留学生に対して、外国の大学において既に修士課程を修了した者についても当研究科の修士課程から入学することを勧めています。

修士課程への入学が許可された者は、研究生(非正規生)として前年の4月または10月の入学を許可されることがあります。 この場合、修士課程に入学するまでの1年ないし半年間は、日本語習得をふくめた正規課程入学への準備期間にあてられます。
数理科学研究科の正規課程の受験を目的とした研究生は受け入れていません。

標準修了年限は修士課程が2年、博士課程が3年ですが、十分な学力があると判断された場合は、修士課程を1年で短縮修了して博士課程に進むことが可能です。
また、とくに優れた研究業績をあげた場合は博士課程を1年で修了することも可能です。
ただし、修士課程を短縮して博士課程に進学した場合の博士課程の最短就業年限は1年ではなく、2年になります。

2.学期

学年度は4月1日に始まり3月31日に終わります。
学年度は2学期に分けられており、第一学期(Sセメスター)は4月1日から8月31日で、 第二学期(Aセメスター)は10月1日から翌年の2月までです。

原則的に学生は4月1日に入学します。
ただし、日本政府奨学金(国費)に採用された者及び外国政府派遣留学生については、例外的に10月の入学を認めています。

3.履修と学位

3.1 セミナーと講義

大学院では、各学生には指導教員1名がついて研究を進めていきます。
学生は指導教員が行うセミナーに参加し、自分が関心のある科目の講義を受講します。

3.2 修了要件

修了するために必要な単位数は、修士課程が30単位、博士課程が20単位です。
学位を取得するためにはさらに学位論文を提出しななければなりません。
学位論文の審査および最終試験に合格した学生に対し、修士(数理科学)あるいは博士(数理科学)の学位が授与されます。
博士課程進学を前提に執筆された修士論文の約半数は国際的な学術雑誌に掲載されています。

4.入学試験および手続き

4.1 入学試験

数理科学研究科に入学するためには、日本に在住している者は通常の入学試験を受けなくてはなりません。
入学試験は修士・博士課程それぞれの課程について年1回実施されます。

修士課程の入学試験は、原則として9月1日を含む週の月曜日から実施されます。
1次試験として2日にわたる筆記試験が行われ、1次試験合格者に対して、2次試験として口述試験が課せられます。
筆記試験の科目は数学と英語です。

修士課程の募集要項は5月下旬から数理科学研究科教務チームで配布します。願書の提出期限は7月末です。
希望者に対して数学の筆記試験を英語で行うことを認めていますが、その場合はあらかじめ当研究科に申し出てください。

博士課程の入学試験は例年2月上旬に実施されます。
試験は主に口述試験によって行われ、受験者の修士論文の内容や専攻分野の研究能力が審査されます。

博士課程の募集要項は前年の6月ころから数理科学研究科教務チームで配布します。
願書の提出期限は1月上旬です。出願の際には、修士論文またはこれにかわる自著の論文、およびそれらの論文の要旨の提出が必要です。

今年度の入学試験の詳細は こちら をご覧ください。
入試選抜は筆記・口述試験の結果のみに基づき、厳正な審査によって行われます。

4.2 特別選抜

数理科学研究科では、日本国外に在住する者に対しては通常の入学試験の代わりに特別選抜を行っています。
特別選抜では、受験者の出身大学での成績、研究計画、自著の学術論文、遠隔試験等によって合否が判定され、合格者には入学許可書を発行します。

特別選抜による入学出願書類は次の通りです。

  • 入学願書(次の項目を含む:履歴,希望する研究分野および研究計画の詳細,当研究科で指導を希望する教員名,誓約書)
  • 出身大学の卒業証明書もしくは学位証明書原本 (写しは不可)
  • 出身大学の成績証明書原本 (写しは不可)
  • 指導教員および志願書の能力をよく知る人物による推薦状2通以上(推薦者が厳封したもの)
  • 志願者の著書、学術論文の一覧とそれらの写し(あれば)
  • 英語または日本語能力を証明する書類(あれば)

その他にも志願者の学力や業績を判断できる資料があれば提出してください。

特別選抜用の入学願書は数理科学研究科国際交流室で入手することができます。
入学願書の受付と入学審査は随時行いますが、審査に3〜4ヶ月要します。
入学願書の最終提出期限は入学年度の前年の10月末日(必着)です。ただし、国費大使館推薦申請者の出願期限は別に定めます(6.2参照)
特別選抜で入学を許可されるのはごく優秀な学生に限られます。また合格者は通常、修士課程から入学することになります。

なお、同一年度(4月1日〜翌年3月31日)に、4.2特別選抜と4.1入学試験を重複して出願することは認められません。

5.費用

東京大学では受験および入学に際し、(1)入学検定料(2)入学料(3)授業料の納入が定められています。
入学検定料は入学試験を受ける前にあらかじめ当研究科に払い込んでください。

経済上の理由やその他の特別な事情がある正規課程の学生に対して、審査のうえ入学料および授業料を減免除されることがあります。
授業料減免除の審査は各学期ごとに行われます。

2024年度額
入学検定料
(*特別選抜)
入学料 授業料
博士課程 30,000円
(*10,000円)
282,000円 520,800円 (年額)
修士課程 30,000円
(*10,000円)
282,000円 535,800円 (年額)

6.奨学金

日本国外から申し込みができる奨学金は、日本政府(文部科学省)奨学金(いわゆる国費)に加え、東大フェローシップとごく少数の民間奨学金があります。
これらの奨学金の応募に際して数理科学研究科の推薦を得るためには、入学試験または特別選抜に合格していなくてはなりません。

6.1 日本政府(文部科学省)奨学金 (国費) --- 大学推薦

数理科学研究科では、東京大学との学術交流協定等により留学する予定の学生を中心に、特別選抜による合格者で、文部科学省が指定する国籍を有し、語学能力等についての要件を満たす者の中から、国費留学生の候補者を選抜しています。
大学推薦により国費に応募を希望する場合は、10月末日までに数理科学研究科の入学願書を提出してください。
ただし、大学から推薦できる人数は限られているため、当研究科の推薦を得ても奨学生に採用される確率は必ずしも高くありません。
応募には、志願者の所属大学等の研究科長レベル以上から東京大学総長宛の推薦状と、原則として語学能力の条件を満たす根拠となる書類(語学試験の証明書等)が必要です。

6.2 日本政府(文部科学省)奨学金(国費) --- 大使館推薦

在外の日本公館(大使館または領事館)で募集します。
日本公館は当該政府の協力を得て候補者の選考を行い、文部科学省に推薦します。
詳細については各々の国の日本公館に問い合わせてください。

数理科学研究科では特別選抜(4.2)に合格した者に対して「大学受入内諾書」を発行します。
大使館への出願あるいは第一次選考の合否が判明する前でも数理科学研究科への出願を受け付けます。
入学審査には時間を要しますので、毎年8月上旬を数理科学研究科への出願期限としています。

6.3 東京大学外国人留学生特別奨学制度(東大フェローシップ)

東京大学では、学位取得を目的とする特に優秀な私費外国人留学生に対し研究奨励費を支給しています。数理科学研究科では新入生の中から適格者を選抜し推薦します。

6.4 民間奨学金

留学生が自分で財団等に応募する奨学金(直接応募)と、学内選考で選ばれた候補者が大学を通じて財団等に応募する奨学金(大学推薦)があります。渡日前に大学を通じて申し込める民間奨学金は極めて少なく、多くの留学生は入学後に応募しています。

7.語学

数理科学研究科では留学生の入学時の日本語能力はあまり問いません。しかしながら、セミナーに参加し研究成果をあげるためには日本語力が必要になるでしょう。また、日本で充実した留学生活を送るうえで日本語能力を身につけることは大切です。

東京大学グローバル教育センター日本語教育部門では日本語の予備教育を行っており、東京大学の留学生は受講することができます。
(https://globe.u-tokyo.ac.jp/nkc/ja/index.html参照)

一方、論文作成のために英語力は不可欠です。

願書請求および問い合わせ先

〒153-8914
東京都目黒区駒場3-8-1
東京大学大学院数理科学研究科
国際交流室
E-mail : liaison[at]ms.u-tokyo.ac.jp