会 田 茂 樹

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講   座 数理解析学講座  教授
研究分野 確率論
研究テーマ
無限次元解析的側面からの確率論の研究
研究概要

 リーマン多様体上の連続曲線の空間や、ループ空間上にはブラウン運動の確率測度など "自然"な測度が存在します。この測度に基づく解析を展開し、無限次元空間でのホッジ・小平型の定理が確立できないかという問題意識はマリアバン解析の出現以前、ウィーナー空間上の解析学が展開され始めた時からありました。このような定理が成立するのかどうかは、未だにわかりませんが、この問題をよく理解したいという視点からいくつかの研究を行って来ました。
 例えば、ループ空間で自然に定まるディリクレ形式の生成作用素や場の量子論に現れるハミルトニアン(例えば、構成的場の量子論の空間切断の入ったP(φ)型のハミルトニアン)などは無限次元空間上の2階偏微分作用素やシュレディンガー作用素となりますが、そのスペクトルの性質や準古典極限などの漸近挙動の研究はその一例です。
 これらの研究では、有限次元空間上のソボレフの不等式に代わり、次元に依存しない不等式、例えば対数ソボレフ不等式などが有効な道具になります。この関係で、関数不等式の研究にも関心を持っています。
 また、確率微分方程式の解は典型的な無限次元空間上の汎関数で、上記のループ空間上の解析でも重要な役割を果たしますが、1990年代中頃から現れたTerry Lyonsによるラフパス解析により、解の構造がよりよく理解できるようになりました。このラフパス解析やラフパスで駆動される微分方程式も研究対象の一つです。さらに、確率微分方程式の解の近似の研究は、応用上も重要ですが、この研究も行っています。

主要論文
  1. S.Aida, S.Kusuoka and D.W.Stroock,On the Support of Wiener Functionals, Asymptotic Problems in Probability Theory:Wiener functonals and asymptotics (Sanda/Kyoto, 1990), 3--34,Pitman Res. Notes Math. Ser., 284, Longman Sci. Tech., Harlow, 1993.
  2. S.Aida, T.Masuda and I.Shigekawa,Logarithmic Sobolev inequalities and exponential integrability, J. Funct. Anal. 126 (1994), no.1,83--101
  3. S.Aida,Uniform positivity improving property, Sobolev inequality and spectral gaps, J.Funct.Anal.,158 (1998) no.1, 152--185.
  4. S.Aida,Weak Poincare inequalities on domains defined by Brownian rough paths,Ann. Probab., 32 (2004) no.4, 3116--3137.
  5. S.Aida,Tunneling for spatially cut-off P(φ)_2-Hamiltonians, J.Funct.Anal. Vol 263 no.9 (2012), 2689--2753.
  6. S.Aida and K.Sasaki,Wong-Zakai approximation of solutions to reflecting stochastic differential equations on domains in Euclidean spaces, Stochastic Process. Appl. 123 (2013), no.10, 3800--3827.
  7. S.Aida,Reflected rough differential equations, Stochastic Process. Appl., 125, (2015), no.9, 3570-3595.
  8. S.Aida,Asymptotics of spectral gaps on loop spaces over a class of Riemannian manifolds,J. Funct.Anal., 269 (2015), no.12, 3714-3764.
学会 日本数学会
受賞

日本数学会解析学賞 2007年

活動

日本数学会統計数学分科会評議員(2016,2017年)

日本数学会理事(2017年〜)