2024-3S 計算数理演習(東京大学理学部・教養学部) [齊藤宣一] [top] [0] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [UTOL]

0. ガイダンス

担当者

齊藤 宣一(さいとう のりかず) 数理科学研究科 mail address

講義の形式

本講義は,駒場情報教育棟(E41)での対面型の講義として行います.

一方で,講義はすべて,Zoomを通じてリアルタイムにストリーミング配信します.また,Zoomの録画を(受講生にのみ)公開します.対面講義に参加が難しい学生は,これらの方法を利用して,オンラインで講義を受けることが可能です.(いわゆるハイフレックス型講義です)

出席はとりません.

講義の概要

動機1

代数方程式 $z^n+a_{n-1}z^{n-1}+\cdots+a_1z+a_0=0$ の根の数値を求めたい.
図1

動機2

有界閉区間 $[a,b]$ 上の連続関数 $f(x)$ に対して,$\displaystyle{\int_a^bf(x)~dx}$ の値を求めたい.
quadrature

動機3

競合の関係下にある2種類の生物の増殖の数理モデル(Lotoka-Volterra微分方程式系 ) \[ \displaystyle{\frac{du_1}{dt}} = c_1u_1(1-b_1u_1-d_2u_2),\qquad \displaystyle{\frac{du_2}{dt}} = -c_2u_2(1-b_2u_2-d_1u_1) \] の解について,$u_1(t)$ と $u_2(t)$ の時間変化が知りたい.ここで,$u_1(t)$ と $u_2(t)$ は2種類の生物の個体密度, $c_1,c_2$ はそれぞれの生物の増殖係数,さらに,$b_1,b_2,d_1,d_2$ は,互いの競合の関係や,環境の影響を表現する定数である.
Lotoka-Volterra
c1=1, c2=1, d1=1, d2=1, b1=0, b2=0のときの相図

動機4

偏微分方程式,特に,熱方程式や波動方程式 \[ \frac{\partial u}{\partial t}= \kappa \frac{\partial^2 u}{\partial x^2},\qquad \frac{\partial^2 u}{\partial t^2}=c^2 \frac{\partial^2 u}{\partial x^2} \] の解を可視化したい.
Lotoka-Volterra
波動方程式の解

本講義の目標

本講義では,数学的問題の解を具体的に計算する($=$数値を得る)方法を研究する.このような分野には,いろいろな呼び方がある.

もう少し大きな分類では,応用数学の一部になる.

一つの行き先: https://www.youtube.com/watch?v=267HdDdIywI

ただし,この講義は,より数学的な部分を強調します.

キーワードは,連続と離散

スケジュールと方法

本講義では,提示された課題に対して,受講生が自ら作成したプログラムを用いて,数値計算を行い,理論との比較検討の考察を行ってもらいます.ただし,いずれの課題についても,数値計算法の説明をした上で,たたき台となるサンプルプログラムを提示して,計算を実演します.サンプルプログラムは, Google colaboratoryを用いてPythonで作成します.ネットワークに繋がる環境で受講できれば,計算環境を自分で整える必要はありません.

講義は毎回,次のように行います.

本講義の目標は,Pythonの修得ではありません.あくまで,数値計算の道具の代表例として利用します.受講生は,他の言語や(Matlabなどの)ソフトウエアを用いても構いません.また,Google colaboratoryを利用せず,受講者自身のPythonプログラミング環境で計算を行っても結構です.

Pythonについて,巷では色々な評価があります.私は,簡単に,色々なことができて便利であると思います.利用者が自分で環境構築をしなくても良い(環境が利用できる)ところにも,お得感があります.

注意

金曜2限の計算数理I(理学部),計算数理(教養学部)の履修を,強く勧めます.

成績評価とレポートの提出

レポートの形式

レポートは,PDF形式(*****.pdf)のファイルで,UTOLのレポート登録機能を通じて提出されたもののみを受け付ける.

レポートの構成は次のようにすること:

(数学とは関係のないことなので)レポートを作成するソフトウエアは,なんでも良い.例えば,WORD,PowerPoint,Googleドキュメントなどを使っても良い.

しかし,せっかくの機会なので,LaTeX の利用を勧める.すでに,LaTeX を利用している人は,自分の使いやすい環境でレポートを作成して良い.

利用経験のない人には,次が便利である.

これらは,Web上ですべての作業ができるので,インストールは不要で,自分のPCはもちろん,どんな場所ででも利用できる.初心者には,Cloud LaTeXが便利であろう.UTOLの教材の中に,簡易的なLaTeXのマニュアルを用意した.適宜,活用してほしい.

参考書

教科書は特に指定しません.例題を から拝借することがあります。数値計算法の数理については、以下が参考になります: Pythonを用いた数値計算については,次が参考になります:

---「0. ガイダンス」はこれで終了---