〔講義題目〕 | 数理科学の研究フロンティア:宇宙、物質、生命、情報 | ||||||||||||||||||||||||
〔講義内容〕 |
本講義では、宇宙の起源、物質の起源、生命の進化、情報と人工知能などの現代科学のフロンティアを、最前線の若手研究者が数理科学という切り口で俯瞰する。授業担当教員がモデレータとなり、理化学研究所の若手研究者をゲストに招き、以下の話題を議論する。ゲスト氏名と話題は、井上芳幸「ブラックホールを通して紐解く宇宙の歴史」、横倉祐貴「時空とは何か? -ブラックホールと情報の関係から時空構造を探る-」、立川正志「数理の目で見る細胞生物学入門」、ジェフリー フォーセット「ゲノム情報学」、土井琢身「スパコンの世界を覗く・スパコンから世界を覗く」、瀧雅人「深層学習はどのように賢くなるのか?」である。
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授業担当教員がモデレータとなり、理化学研究所の若手研究者をゲストに招き、以下の話題 を議論する。 | |||||||||||||||||||||||||
4/11、4/18、4/25 井上芳幸「ブラックホールを通して紐解く宇宙の歴史」 | |||||||||||||||||||||||||
まず宇宙の構成要素を概観し、宇宙史における支配的な種族とは何かを紹介する。次に、ブラックホールに焦点をあて、銀河よりも遥かに小さなブラックホールが、宇宙の歴史においてどのような役割を果たしてきたかを紹介する。 | |||||||||||||||||||||||||
5/2、5/9 横倉祐貴「時空とは何か? ―ブラックホールと情報の関係から時空構造を探る―」 | |||||||||||||||||||||||||
仮にブラックホールが蒸発するとしたら、その中に入った物の情報はどこに行くのだろうか?これは未だに解決されていない問題であり、その答えは時空の本当の姿を明らかにする可能性を秘めている。この問いの重要性と面白さを理解するために、まず現代物理学の基礎を成す、熱力学、量子力学、相対性理論を概観し、情報とは物理的には一体何なのかを考える。そして、それに基づき、時空構造を探る鍵としてブラックホールの性質を説明する。学部で学ぶ基礎的なことの組み合わせが、いかにして最先端の研究に結び付き、驚くべきことが出てくるのかを楽しんでもらいたい。 | |||||||||||||||||||||||||
5/16、5/23 立川正志「数理の目で見る細胞生物学入門」 | |||||||||||||||||||||||||
生物学は物理学に比べ覚えることが多い。このことは、生物を構成する物質が多様であるゆえに(ある程度)免れません。しかし、生物がどんな存在か?どんな原理が生物を”いきもの”たらしめているか?は沢山の名前を覚える事とは違った理解の仕方があるはずです。ここでは、細胞を構成する数や物理法則にスポットをあてて、数理の目を通して細胞生物学を整理し直すことで、上の問題を一緒に考えていきたいと思います(生物学の事前知識を必要としない講義)。 | |||||||||||||||||||||||||
6/6、6/13 ジェフリー フォーセット「ゲノム情報学」 | |||||||||||||||||||||||||
生物のゲノム(=全遺伝情報)は数万から数億のA,G,T,Cで表される塩基の並びから成る。ではこのA,G,T,Cの並びにはどのような法則性があり、どのようにして生物の様々な形質を規定しているのだろうか。本講義では、このゲノム情報をどのように解明することができるのか、そしてゲノム情報を解明する上での基礎となる遺伝や進化のメカニズムについて紹介する。 | |||||||||||||||||||||||||
6/20、6/27 土井琢身「スパコンの世界を覗く・スパコンから世界を覗く」 | |||||||||||||||||||||||||
計算機の発展により、計算科学は理論・実験と並ぶ科学の3本柱となっています。ここでは、計算機の基本原理、そしてスパコンでのシミュレーションではどのようにしてその超高速計算を実現しているのか、その基礎を解説します。また、最新の成果の一例として、スパコンを用いて解き明かされつつある素粒子・原子核など極微の世界の謎について、シュミレーション結果を紹介します。 | |||||||||||||||||||||||||
7/4、7/11 瀧雅人「深層学習はどのように賢くなるのか?」 | |||||||||||||||||||||||||
人工知能の最近の盛り上がりを支えているのは、ディープラーニング/深層学習の驚異的な進歩です。この深層学習とは、膨大なデータから、その背後にある複雑なパターンを抽出するための統計的手法(機械学習)の一つです。ここでは、その歴史や仕組みについて出来るだけ簡単に解説します。そして最近の華やかな成果についてもいくつか紹介します。また時間が許せば、深層学習をさらに勉強するための手引きもしたいと思います。 | |||||||||||||||||||||||||
〔教科書等〕 | 使用しない。
講義内容、参考となる事柄等について、次のホームページで案内する。 https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/riken2018.htm |
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〔評価方法等〕 | 出席の把握のため、毎回、質問感想等をミニレポートとして提出してもらう。出席状況によ り合否を評価する。 |
この講義についての質問等は坪井 俊 tsuboi[@]ms.u-tokyo.ac.jp にメールしてください。