各種プログラム及びメニューの設定

祝鳥のコンパイルメニューの設定を行います.

コンパイルメニューの各項目は「コマンド」を併せて作られます.たとえば,デフォルトで入っている「DVIに変換して表示」ならば,「TeXToDVI」というTeXソースファイルのコンパイルを行うコマンドと,「DVIOUT」というdvioutによりDVIファイルを表示するコマンドからなります.このように,「コマンド」は単一の処理を行い,それらを組み合わせることで「メニュー」を構築します.

「各種プログラム及びメニューの設定」を選択すると,ダイアログが開きます.左でコマンドの設定,右でそれをあわせたメニュー項目の指定を行います.各リストボックスで右クリックを行うと,新たな設定が行えます.

メニューの構築

既に設定されているコマンドを組み合わせて,新たなメニューを作成します.画面右半分にすでに構築されているメニュー一覧が表示されます.既存のメニューを編集する場合にはそのメニューでダブルクリックを,追加や削除などを行う場合は右クリックをしてください.

タイトル

実際に表示されるタイトルです.(&A)という文字列を含ませると,キーショートカットとしてAが指定されます.たとえばデフォルトでは「DVIに変換して表示(&T)」というメニューがありますが,これによりタイプセットメニュー作成後Tを押すだけでDVIへの変換処理が行われます.

実行するコマンド

実行するコマンド一覧です.右にある「登録されているコマンド」から「←」を押すことで追加.「→」を押すことで削除されます.実行の順番は上からなので,「↑」「↓」を用いて移動させて下さい.

さらに,ここで実行する各コマンドに対して「引数」を指定することができます.これは,コマンドがマクロによる呼び出しとして指定されている場合にのみ有効です.引数とは,コマンド呼び出し時にコマンドに渡されるもので,これにより細かな動作の違いを指定することができます.

たとえば,デフォルトで入っている「PDFに変換して表示」のメニュー項目では,「Adobe」コマンドが二度呼び出されます.一度目の呼び出しはAdobe Reader/Acrobatがファイルを開いている場合に閉じる処理*1,二つ目は作成されたファイルを開く処理です.これらは同じ「Adobe」コマンドを利用していますが,引数の違いにより処理が異なります.

引数は,メニューの設定欄の左側「実行するコマンド」のリストボックスで,各項目をダブルクリックすることで行われます.たとえば,上述の「PDFに変換して表示」の場合は,一度目の「Adobe」コマンドには引数「todo=close」が指定されており,ファイルを閉じる処理が指定されていることがわかります.対して,二つ目の「Adobe」コマンドには引数が指定されておらず,デフォルトの動作(=ファイルを開く)を行うことがわかります.

各引数の意味については,各パッケージの説明をご覧ください.

「コマンド」の設定

実行するコマンドを登録します.コマンドは大きく三つのタイプ「コマンドライン」「GUIアプリケーション」「マクロ」に分かれます.多くの(やや複雑な)処理を行うためには,マクロを指定する必要があるでしょう.ここでの指定が可能なマクロを「パッケージ」と呼んでいます.いくつかのパッケージは,fortex\sub\package以下にあります.

タイトル

コマンドの識別に用いられます.同じタイトルを持つコマンドを作成することはできません.

「コマンドライン」「GUIアプリケーション」

「コマンドライン」「GUIアプリケーション」はプログラムの起動を行います.前者が主にコンソールからの使用が想定されているもの,後者はウィンドウを作成するプログラムの呼び出しです.これらを選択した場合,その他の以下の項目を設定する必要があります.

プログラム

実際に起動するプログラム名です.

オプション

付け加えるオプションです*2.置換文字列が使用可能です.置換文字列とはある特定の文字列を他の文字列に置換する機能です.具体的には以下の置き換えがなされます.

%f ファイル名(拡張子無し,フルパス)
%d ディレクトリ名
%b ファイル名(拡張子無し,ディレクトリ無し)
%k 拡張子(.texみたいな形)
%F 親ファイル名(拡張子無し,フルパス)
%D 親ファイルのディレクトリ名
%B 親ファイル名(拡張子無し,ディレクトリ無し)
%K 親ファイルの拡張子(.texみたいな形)

また,%を表示する時は%%とする必要があります.

カレントディレクトリ

プログラムを実行する際のカレントディレクトリを指定します.やはり置換文字列が使用可能です.使用出来る置換文字列はオプションと同じです.「コマンドライン」のみ指定可能です.

「マクロ」

「マクロ」はいわゆるパッケージの呼び出しを行います.パッケージの本体は秀丸マクロです.これを選んだ場合,以下の項目が利用可能になります.

マクロ

実行するマクロです.以下の置換文字列が使用可能です.

%m マクロフォルダ
%h 秀丸のフォルダ
「詳細設定」ボタン

各マクロが設定項目を持っている場合,このボタンを押すことで設定をすることができます.多くの場合,メニューにより設定がされます.ここでの設定は,現在のコマンドで有効です.つまり,別のタイトルを指定して同じマクロを用いるコマンドを作成した場合,ここでの設定は独立に保存されます.

なお,ここでの設定は「メインメニュー」→「プログラム設定」での項目と同様です.

設定例

例として,platex + dvipdfmxでコンパイルし,SumatraPDFで表示するメニューを見てみましょう.すでにデフォルトの設定として入っているものです.次のような成り立ちからできています.

  1. TeXソースにplatexをかける「TeXToDVIコマンド」.実体はTeXToDVIパッケージ.
  2. DVIにdvipdfmxをかける「DVIToPDFコマンド」.実体はDVIToPDFパッケージ.
  3. SumatraPDFでプレビューを行う,「SumatraPDFコマンド」.実体はSumatraPDFパッケージ.

TeXToDVIパッケージは次のようになっています.ダイアログのTeXToDVIという部分をダブルクリックすると表示されます.

パッケージの実体はマクロでした.ここで使われているTeXToDVIパッケージは祝鳥フォルダ内以下sub\package\textodvi\compile.macにあります.祝鳥フォルダはマクロフォルダ以下のfortexフォルダにありますから,実際にはマクロフォルダ以下の\fortex\sub\package\textodvi\compile.macに入ります.上の設定での%mはマクロフォルダを意味しますから,これで正しく場所が指定できたことになります.

DVIToPDFコマンドやSumatraPDFコマンドもほぼ同様で,次のようになっています.

パッケージ個別の設定を行う場合は,このダイアログから「詳細設定」ボタンを押します.たとえばTeXソースのコンパイルをplatexからlatexに変更したい場合,TeXToDVIコマンドのダイアログの「詳細設定」ボタンを押し,「プログラム」→「フォーマットファイルから選ぶ」→「latex.fmt」と選べば良いです.

これらがまとまってできているメニューを見てみます.デフォルトでは「PDFに変換して表示」または「PDFに変換して表示(&P)」として登録されているので,ダブルクリックしてみましょう.「実行するコマンド」の欄に上から「TeXToDVI」「DVIToPDF」「SumatraPDF」と並んでいることが確認できます.

*1
ファイルを開いたままだとPDFへの変換が行われないため.
*2
実行の際には「コマンド」で設定された文字列の後に「オプション」で設定された文字列を付け加えて実行されます.特にファイル名を付加することはないので,ここで設定しておく必要があります.