1. 岡田 康志 氏:「アルツハイマーから心臓まで 〜分子モーターの多彩な機能とそのモデル化〜」
[第1部] 分子モーターの動きの機構とモデル化 〜アルツハイマーと交通渋滞〜
(キーワード:ブラウン運動,ラチェット機構,パロンドの逆理,交通流モデル)
[第2部] 左右軸決定の流体力学モデル 〜心臓が左側にある理由〜
(キーワード:ポワズイユ流,反応拡散方程式)
概要:
《動くこと》は生命現象の大きな特徴の一つである.その源である分子モーターは,動くことを通じて多彩な生命現象に寄与している.
たとえば分子モーターのキネシンは、記憶・学習などの高次脳機能,アルツハイマーなどの神経疾患,さらには人体の左右非対称性(心臓が左側にあるなど)でも重要な役割を果たしている.
今回は,キネシン1個の動きから高次の現象まで,私自身の実験とそれを元にした数理モデルを中心に紹介する予定である。
2. 森 洋一朗 氏:「電気生理学における数理」
(1) 細胞の体積調節と膜電位の起源(イオンチャネル・ポンプ,浸透圧,電解質バランス)
(2) 活動電位と興奮性(Hodgkin-Huxley, FitzHugh-Nagumo モデル,dispersion relation)
(3) 心不整脈の理解をめざして(Bidomain モデル,スパイラル波,restitution hypothesis)
概要:
神経系での情報処理から心臓のリズムの同期にいたるまで,我々の身体のさまざまな機能は電気的に制御されている.
前半では細胞の体積調節を起点として電気生理学の基礎的概念について数理モデルを通して解説する.
後半ではこのような数理モデルが心臓の不整脈の理解にどう貢献しつつあるのか解説する予定である.
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