〔講義題目〕 | 数理科学の研究フロンティア:宇宙,物質,生命,情報 | ||||||||||||||||||||||||
〔講義内容〕 |
本講義では,宇宙の起源,物質の起源,生命の進化,情報と人工知能などの現代科学のフロンティアを,最前線の若手研究者が数理科学という切り口で俯瞰する.授業担当教員がモデレータとなり,理化学研究所の若手研究者をゲストに招き,以下の話題を議論する.ゲスト氏名と話題は,井上芳幸「ブラックホールを通して紐解く宇宙の歴史」,日高義将「物質の起源を探る」,黒澤元「数理でせまる生物の時間の謎」,窪田陽介「線形代数から見るトポロジカル物理」,入江広隆「量子コンピュータ入門」,田中章詞「機械学習の数理」である.
すでに終了した講義のビデオは学内限定で公開している. アクセス先はITC-LMSで確認すること.
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授業担当教員がモデレータとなり,理化学研究所の若手研究者をゲストに招き,以下の話題を議論する. | |||||||||||||||||||||||||
4/22 井上芳幸「ブラックホールを通して紐解く宇宙の歴史」 | |||||||||||||||||||||||||
まず宇宙の構成要素を概観し,最近の宇宙物理学研究における主要な成果を幅広く紹介する.次に,ブラックホールに焦点をあて,ブラックホールが宇宙史においてどのような役割を果たしてきたかを解説する. | |||||||||||||||||||||||||
4/29,5/13 日高義将「物質の起源を探る」 | |||||||||||||||||||||||||
宇宙誕生後,我々の物質はどのように生まれどのような最後を迎えるのだろうか? この講義では,我々の宇宙を構成する物質の起源やそれを支配する物理法則について,これまで人類が明らかにしたこと,まだ未解明なことを,素粒子・原子核・宇宙物理の最新の理論と実験の進展を実例を交えながら紹介する. | |||||||||||||||||||||||||
5/20,5/27 黒澤元「数理でせまる生物の時間の謎」 | |||||||||||||||||||||||||
「夜遅くに食べると寝坊しやすい.」「薬効は薬を飲む時間に依 存する.」「朝が苦手な人がいる.」昔から私たちはこうした事実を知っているが,その理由を知らない.本講義ではまず,体内時計など生物の時間に関する実験研究の歴史を概観する.続いて,(遺伝子やタンパク質の)ミクロの情報を高校レベルの数学を用いて統合すれば,古くからの身近な謎にせまれることを示す. | |||||||||||||||||||||||||
6/3,6/10 窪田陽介「線形代数から見るトポロジカル物理」 | |||||||||||||||||||||||||
近年,物質のトポロジカル相の理論が注目を集めている.2016年には当該分野の研究にノーベル物理学賞が授与された.その理論の数理的な側面(の一部)は,20世紀に非常に発展した「作用素(無限次元の線形代数において,行列にあたるもの)からトポロジー的な情報を引き出す」数学をもとにしている.また,このトピックに限らず無限次元の線形代数は,熱・波や量子力学に現れる微分方程式の解析,幾何学,トポロジーや代数学(群の表現論)など,数理の様々な場所で基本的な役割を果たしている.この講義では,無限次元の線形代数に特有のトポロジー的な現象を,最近の応用を含むいくつかの例を交えて紹介する. | |||||||||||||||||||||||||
6/17,6/24 入江広隆「量子コンピュータ入門」 | |||||||||||||||||||||||||
近年量子コンピュータに関する関心が高まっています.量子コンピュータとは,量子力学の法則に基づいて動く「量子ビット」を用いた新しい形態の計算装置です.ここではまず量子ビットを支配する量子力学から初めて,量子コンピュータとは何であり,なぜ必要とされているか,なぜ超越的に「高速に」計算できるようになるのか,量子コンピュータは何を目指しており,現状がどこにあるかをお話したいと思います.後半では特に,アナログ量子コンピュータの一種と知られる「量子アニーラ」を中心に,アルゴリズム構築及びプログラミング,そして実際の活用事例等についてお話しできればと思います. | |||||||||||||||||||||||||
7/1,7/8 田中章詞「機械学習の数理」 | |||||||||||||||||||||||||
近年「人工知能が描いた絵」が高額で落札されたことがありました.また,人工知能が「塗り絵をする」とか「白黒写真に色を付ける」といったweb上のサービス等も話題になっています.このように「データを作り出す」タイプの機械学習モデルを総称して生成モデルと呼びます.本講義では,上述したことがこの枠組みでいかにして可能になるのか,その理論的な部分を主に説明する予定です. | |||||||||||||||||||||||||
〔教科書等〕 | 使用しない.講義内容,参考となる事柄等について,次のホームページで案内する. https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/riken2020.htm |
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〔評価方法等〕 | 出席の把握のため,毎回,質問感想等をアンケートとして提出してもらう.出席状況により合否を評価する. 出席アンケート |
この講義についての質問等は河東泰之 yasuyuki[@]ms.u-tokyo.ac.jpにメールしてください.
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