微分積分学続論 2017(2年 理一(25ー32組)・文科) 担当:坪井 俊
http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp   tsuboi(at)ms.u-tokyo.ac.jp
 火曜日2限   512教室


【講義の概要】
1年生の微分積分学で学んだ内容に続く基礎的な話題を扱う.主題は,多変数関数および写像の微分積分である.関数および写像を線型な対象によって近似する手法がしばしば使われるため,1年次に学んだ線型代数の応用という側面も有する.本科目で取り上げるさまざまな手法は,数学・物理学はもちろんのこと,より広く,理学・工学をはじめとする多くの分野で用いられる重要なものである.将来少しでも微積分を道具として使うのであれば,必須の内容である.

【キーワード】
多変数関数の極値問題,ヘッセ行列,ヤコビ行列式,陰関数の定理,逆写像の定理,ラグランジュの未定乗数法,重積分の変数変換

【講義内容】
講義内容はおおむね以下の通りである.

1. ヘッセ行列による極値判定: 2変数関数の極値問題は1年生のときに既に学んだが,本科目では多変数関数について同様の極値問題を扱う.対称行列の対角化の一つの応用として,ヘッセ行列と呼ばれる,2階偏微分を成分にもつ行列が定める2次形式を調べることにより,n 変数関数が極大値,極小値を取るための十分条件を与える.

2. 陰関数定理と逆写像定理: f(x1,…,xn, y) = 0 という形の条件式が与えられたとき,この式を満たす y を,局所的に x1, …, xn の関数とみなすことができるための十分条件を与えるのが陰関数定理である.この定理を解説し,このようにして定まる関数の性質を調べる.また,Rn から Rn への写像が与えられたとき,この写像がいかなる条件のもとで可逆であるかを考える.ヤコビ行列式と呼ばれる,偏微分から定まる行列式が 0 でなければこの写像の逆写像が局所的に定まるという定理を解説し,これによって定まる逆写像の性質を調べる.

3. ラグランジュの未定乗数法: g(x1,…,xn) = 0 のような条件式が与えられたときに,この制約条件のもとで与えられた n 変数関数の取りうる極値を求める問題を扱う.偏微分を用いてこの問題を解く方法を解説する.

4. 重積分の変数変換: 1年次では,2変数関数を主な対象とし,重積分のヤコビ行列式を用いた変数変換の公式を学んだ.本科目では,一般の n 変数関数の重積分における変数変換についてより詳しく論じる.


【評価方法】期末試験を行い評価する.レポート問題を出す予定で、レポートもある程度勘案する。

【教科書】使用しない.

【参考書】例えば以下のような参考書がある。

一松 信 著 「解析学序説」 (新版)下巻 裳華房 ISBN: 978-4-7853-1031-8 (1982年)
岩堀長慶 著 「ベクトル解析」 裳華房 ISBN978-4-7853-1526-9 (1996年)
小林昭七 著 「続 微分積分読本 −多変数−」  裳華房 ISBN:978-4-7853-1526-9 (2001年)
坪井 俊 著  「ベクトル解析と幾何学」  朝倉書店  ISBN:978-4-254-11585-7  (2002年) 
杉浦光夫、金子晃、清水英男、岡本和夫 著 「解析演習」  東大出版会 (基礎数学)  ISBN: 978-4130621052 (1989年) 

【履修前の準備】微分積分学,線型代数学の内容を復習しながら用いる.

講義内容 プリント
1 4月11日 多変数関数の増減、偏微分、方向微分、勾配ベクトル場
2 4月18日 多変数関数のグラフ、多変数関数のグラフの接平面 補足と演習問題1
3 4月25日 2階微分のなす行列、接平面とグラフの位置関係、凸関数
4 5月2日 ヘッセ行列、極大極小の判定 講義メモ1
55月9日 多変数のテーラー展開、多項式、2次曲面 補足と演習問題2
6 5月16日 陰関数定理その1、陰関数の微分等の計算
7 5月23日 ベクトル値関数、ヤコビ行列、チェインルール
8 6月6日 球面座標、円柱座標、直交曲線系、直交曲面系演習問題3
9 6月13日 微分の書き換え、ラプラシアンの書き換え
106月20日 逆写像定理、縮小写像の原理、陰関数定理�A講義メモ2
11 6月27日 条件付き極値問題、ラグランジュの未定乗数法 演習問題4
12 7月4日 高次元の体積、多変数関数の積分 講義メモ3
13 7月11日 積分の変数変換、ヤコビアン
試験
?
試験範囲 講義で述べた上記の事項。
参考書、ノート等の持ち込みは認めない。