オンライン講義,録画ファイル, 静止画などのデータ量

大島利雄(2020年4月11日〜5月13日)

学生のデータ通信量の問題について考察します.
なお,より詳しくは,城西大学数学科数学教育紀要2(2021)の 記事をご覧ください.

特に,自由に使える Wi-Fi 環境がないが,スマホは持っている,という状況を想定しています (ディザリングでWi-Fiルータとして使うことが出来ます).

25歳以下のスマホ所有者は, 規定量を超えても ,+50G/月 のデータ通信が無料になると想定して, それを基準に考えます.


スマホ(or パソコン)を使うとして,+50G が講義に宛てられて,それが毎週5日間のみに割り振ると
50G byte x 7/5 /30.5 = 2.3G byte = 2300M byte/日 となります.
日割りでは,
50G byte /30.5 = 1.64G byte = 1640M byte/日


講義1コマ (90min) につき,平均 300M/byte 程度使うことは問題なさそうです(週23コマとすると,約30G byte/月).
これには,提出された問題を解いたり,講師や受講者間のやりとり(必要)も含まれます.

以下はあくまで実験を行っての参考例です(スマホでの受け手側の通信データ量).
動画ファイルを作るときにも参考になると思います.

Mbyte 単位 90min 形態 状況(音声は主にTVを用いた)
   42 60min    63M 片側音声 Zoom, PDF (PDFは文字と数式が主,数学者が講演するときの形に近い)
 102 60min 153M 両側音声 Zoom, PDF (PDFは文字と数式が主,数学者が講演するときの形に近い)
   49 60min   74M 片側音声 Zoom, Digital Paper (PDFにペンで上書き, 白紙ノートに書く,消しゴム,頁移動)
 453 60min 680M 両側ビデオ Zoom (ホスト側:TV(画像と音声)とスマホ側:人と声(少ない))
 402 60min 603M 両側ビデオ webEx(上と類似条件で)
 327 60min 490M    録画 ZoomによるTV画面の録画(mp4, TVの液晶部分の面積が全体の3/5程度)
   23 60min   35M    録音 上記で音声のみ(mpa 録音部分)
     6 60min     9M    無音 Zoom (PDF, JPG などの静止画1枚,画像サイズやスマホで拡大・移動への依存性は小ない)
   84 60min 126M    録画 数学科の学科履修説明 (Zoom : mp4, ビデオ(22sec)+PDFを使った動画 : 13.5min)
   96 60min 143M    録画 スライドを使った講義の録画(cf. Zoom 東大 田浦氏「遠隔講義を実際にやってみての体験」
   98 60min 147M 講師音声 Zoom, スライドを使った講義(2枚/分 程度,下記 東大 工藤氏)
   80 60min 120M 講師音声 Zoom, PowerPoint (文系,東大,大向氏,参加者30名程度)
   45 60min   68M 講師音声のみ Zoom (文系,東大 大向氏,参加者15名程度,音声のみ)
   90 60min 135M 受講者発言可 Zoom (文系,東大 大向氏,参加者15名程度,音声のみ)
 200 60min 300M 講師ビデオ Zoom (文系,東大 大向氏, 講義)
 2〜5   1枚    JPG iPhone 6s 写真(枚数が多いと,無視できないデータ量)
     1.5   1冊    PDF 書物「個数を数える」の校正原稿(PDF, 225pages)

多人数の参加でも データ量に易しい 双方向オンライン講義の例

大部分は一方向:ビデオは全て切る.PDF (Acrobat Reader), ppt (PowerPoint) などでの静止画,iPadやDigital Paperでの筆記, ファイルサイズの小さい動画(このときは「コンピュータの音声を共有」にチェック),などを画面共用で表示して講義. 音声は講師側のみ.

双方向性: Zoomでは
が考えられます. 参考:東大 沙川貴大先生のZoomオンライン講義メモ,  東大 工藤先生の「オンライン授業の通信料」

対面講義が始まっても,密集度の観点から,隔週で交代して登校,ということもあり得る.


実際に双方向オンライン講義を行うときは,1コマの講義の一部または全部に上のような各種やり方,さらにはオンデマンドをブレンドした形になることが多いと思われる(あるいは,オンデマンドが主で一部双方向オンライン).

WiMAX の使用量制限をオーバーすると,1M bps 程度の速度制限がかかる.その状態で Zoom を3つ立ち上げ,実測160k bps(72M byte/60min)程度で行った(参加は10端末程度). この双方向講義形式でのオンライン講義では (Zoomでは,講演者側,受講者側共に), ほぼ問題なく使えそうである(実験済み).
なお,ここで回線速度が調べられます


TeXのTrueTypeフォント

数式を含んだ文書を作成するにはTeXが用いられ,数学者には必須です.
標準的なTeXで用いられるフォント(Knuthが作ったTeXのCMフォント+AMSの拡張フォントの全部)のTrueType版が以下から得られます(20年近く前にバグを見つけて修正したもの). PDFファイルを作成する際に埋め込むことが出来ます(例えば,pLaTeX+dvipdfmxで自動的).

TeXを使ってこのTrueTypeフォントを含んだPowerPointのファイルを作ることができますが,このTrueTypeフォントのないところでも表示するため,PowerPointでフォントの埋め込もうとしましたがうまくいっていません. 方法が分かる方は連絡いただければ有り難いです.すなわちこのPowerPointのファイルは,上のフォントをオンストールしていないと正しく表示できませんが,このフォントのない環境でも正常に表示されるPowerPointのファイルにする方法です.

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