dvioutでのプレゼンテーション


August 30, 2002 - February 11, 2006

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dvioutのインストール
dvioutにおける小ヒント集 --- プレゼンテーションモード
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目次
 0. はじめに

 1. プレゼンテーションモードを試してみましょう
    1.1.  プレゼンテーションモードへ
    1.2.  線画機能
    1.3.  サムネール機能
    1.4.  連結スクロール
    1.5.  反転表示
    1.6.  終了
    1.7.  非スクロール
    1.8.  自動表示
    1.9.  順次段階表示
    1.10. Cover Sheet

 2. プレゼンテーション用のDVIファイル
    2.1.  ソースの流用
    2.2.  文字を見易く (SliTeX)
    例:  連結スクロール, Cover Sheet, 表示制御, 自動表示
    2.3.  フォントや画像の埋め込み
    2.4.  プレゼンテーション用スタイルファイル

 3. プレゼンテーション中の操作
    3.1  キー・マウスの操作
    3.2  移動
    3.3  OHP2台に代わるもの

0. はじめに

1999年12月に米国でのバークレイのMSRI で開催された Workshop "The Future of Mathematical Communication:1999" では、多くの講演者がプレゼンテーション・プログラムを使っていました。

数式の取り込みに苦労している様子だったので、dvioutの側でプレゼンテーションに対応しようと思い立ち、Ver.3.11(February 2000) からプレゼンテーションモードを設けました。

dvioutのプレゼンテーションモードは、比較的新しい機能であり、その後も、実際の講演などで使用しながら改良を行っています。

ここには、dvioutのプレゼンテーション機能を使う場合のヒントを記します。

ここに書かれた機能を使う場合は、標準的にインストールされたdvioutAugust 28, 2002 以降の日付の版をお使いください。

1. プレゼンテーションモードを試してみましょう

dvioutを使ってのプレゼンテーションは、大きく分けて

  1. ページ毎に、各ページを一方向に(通常は縦に)スクロールして表示
  2. 全てのページを縦に連結させて、仮想的に一つのページにして縦方向に連続スクロールして表示
  3. 各ページを表示画面に一致させ、ページ毎に表示
の3種類考えられ、それぞれdvioutのプレゼンテーション向け機能を含む様々な機能を使って、目的に応じていろいろな工夫が可能です。このとき
  1. TeX のソース/DVIファイル作成にどの程度労力を割くか?
  2. プレゼンテーションの際にどの程度自動化するか?
がポイントとなります。

例えば、プレゼンテーションの完全自動化も可能です(dviout special を使って、タイマー機能や、プレゼンテーションを見ている人のキー入力を待っての条件ジャ ンプなどの機能が使える)。

1.1. プレゼンテーションモードへ

ここでは、既にあるDVIファイルを流用して、プレゼンテーションモードを体験してみることにします。

そこで、既に作成済みの適当なDVIファイルを用意しましょう。 通常の A4 などのサイズの縦長用紙の横書きで、複数ページに渡る文書とします。 それを普通にdvioutで表示してから、次の操作を行います。

以下の1-1から書かれているように順に行うのを薦めますが、Ver.3.15 以降でとりあえず試してみるには、

1-1. 上部のメニューバーから Presentation → Cut edge を選び、紙面の周囲の余白をカットします。
1-2. まず [Esc] 続いて [6] のキーを押します。
なお、dviout Ver.3.14.3以降では、この2つの操作は、[Shift]+[F6] で実現されます。

これによって、紙面の周囲の余白を除いた部分が、Windowsの枠などを取り払って、画面の横幅いっぱいに表示されます。

[Esc] は、プレゼンテーションモードと通常のモードとの切り替えスイッチで、[6] (Full) は表示画面いっぱいに紙面を表示するスイッチ(すなわち、「縦または横の一方のスクロールのみで紙面全体が表示できる」 という条件下で最も大きく表示する、というスイッチ)にあたります(dvioutのデフォルトのキー設定)。
通常の時と同じように紙面の上部・下部は矢印キーやマウスによる縦スクロールで移動できます。
たとえば、[Space] で次のページへ、[Back space] で前のページへ、というのも通常と同様です。
ルーペ機能なども使えます。

1.2. 線画機能

上記のプレゼンテーションモードで、線画機能を使ってみましょう。

1-3. [F12] を押すと、線画機能が有効になります(トグルスイッチ)。

1-4. [Shift] を押しながらのマウスの左ボタンクリックで始点を指定し(小さな十字が表示されます)、[Shift] を押しながらの右ボタンクリックで終点または通過点を指定します。マウスカーソルを移動して、順次 [Shift] を押しながら右ボタンクリックを行うと、折れ線が描けます。

1-5. [SHIFT]+[F11] を押すと、以降、指定した2点を結ぶ線分でなくて、2点を対角線とする矩形の枠が描かれます。試してみましょう。

Dec. 14, 2002以降の版の dviout では、上記でなくて [Shift]+[F12] を利用するのもよいでしょう。 [line] のメニューにします。

線画はページを変更すると消去されます。
デフォルトの線の色は赤ですが、それの変更や、線画の修正・消去などの機能は以下の通りです

F12:       線画機能のON/OFF(トグルスイッチ)
SHIFT+マウスの左ボタン: 始点の定義
SHIFT+マウスの右ボタン: 終点、端点の定義
CTRL+SHIFT+マウスの左ボタン: 最後の始点の変更
CTRL+SHIFT+マウスの右ボタン: 最後の終点、端点の変更
Delete:    最後の点、または線の削除
F11:       線の描画(デフォルト)
SHIFT+F11: 矩形の描画
SHIFT+F5:  赤(デフォルト), なお、色は始点で定義される。
SHIFT+F6:  黒
SHIFT+F7:  青
SHIFT+F8:  緑
SHIFT+F9:  線を太く、または細くする。

1.3. サムネール機能

1-6. ここで、[9] のキーを押すと、16ページが縮小して表示されます。 1-7. 表示したいページにマウスカーソルを移動して、マウスの右ボタンをクリックしましょう(Ver.3.17.4 以降は、左ボタンのダブルクリックでも OK です)。
その結果、そのページのプレゼンテーションモードでの表示に戻ります。

1-8. [5] のキーを押すと、(FULLのモード から FITのモードに変わり)ページがスクロールせずに表示される最大の大きさに変わります。[6] で元に戻ります。

1.4. 連結スクロール

ページ連結縦スクロールを体験するため、上のプレゼンテーションモードを [Esc] を押して抜け出ます。さらに、Presentation → Cut edge を選択して、そこのチェックをはずし、通常の表示に戻します。
Ver.3.14.3 以降では、[Shift]+[F2] でこの操作がなされます。

縦にページを連結して、文書全体を仮想的に一つのページのみからなるようにします。
そのため、以下のようにして、各ページのヘッダやページ番号の部分などを表示から削ることにします。

2-1. Display → Region → On で領域指定モードに入ります。
2-2. [Shift] を押しながらのマウスの左ボタンと右ボタンのクリックで、表示すべき領域を指定します。
2-3. Display → Region → Cut で、領域を切り出します。

2-4. Display → Y-two pages (または、[0] )で、2ページを縦に連結します。
2-5. [Esc] でプレゼンテーションモードに入り、[6] を押して表示を横一杯に広げます。

Ver.3.14.3 以降では、[Shift]+[F1] でこの一連の操作がなされます。
このあとは、矢印キーやマウスによって縦スクロールを行うと、全頁が縦に繋がった仮想1ページとして表示していくことが出来ます。線画機能も有効です(2ページの間は、線画が保持されます)。

1.5. 反転表示

次に、白黒の反転表示をするため、[Esc] (or [Shift]+[F2]) でプレゼンテーションモードを抜け

2-6. Presentation → Presentation type → black screen を選びます。
2-7. [Esc], [6] (or [Shift]+[F6]) でプレゼンテーションモードに入ります。

1.6. 終了

プレゼンテーションモードから、dvioutを終了させるには、 などがあります。ここでは、前者で終了してみましょう。

1.7. 非スクロール

他の多くのプレゼンテーションプログラムのように、スクロールを行わず、表示画面を紙面に一致させ、ページ単位で表示する。

そのためには、画面と縦横比が等しい紙面を用意し、[Esc] でプレゼンテーションモードに入って、[5] を押して、紙面全体を表示するようにすればよい。

[5] (Fit)は、「紙面全体が表示画面に入る」という条件で、紙面を最も大きく表示するスイッチです。
ここでは、添付されたDVIファイルでのプレゼンテーションを試してみます。画面は、1024 x 768 dot の XGA の解像度にしておきます(不可能なときは、横のドット数と縦のドット数の比が、4:3 になるような画面を用いる)。

1.8. 自動表示

3-1. dviout のディレクトリの下の sample\slisampl.dvi のアイコンをダブルクリックする。
3-2. そのまま待っていれば、2ページの最後まで表示される。
3-3. [Alt]+[X] で抜け出る。
最後のページを表示してから、適当な時間後に先頭(あるいは、別のDVIファイル)へジャンプするように書いておけば、自動表示をループさせることができる。

そのような例 special\demo.dvi があるので、そのアイコンのダブルクリックで表示してみよう。[Alt]+[X] で終了します。

1.9. 順次段階表示

3-4. dviout のディレクトリの下の sample\slisamp2.dvi のアイコンをダブルクリックする。
3-5. [Space] を押すことにより、一段階毎に表示が進行する。
3-6. 最後まで来たら、[Alt]+[X] で抜け出る。
3-7. 同様のことを sample\slisamp4.dvi でやってみる。

1.10. Cover Sheet

3-8. dviout のディレクトリの下の sample\slisamp3.dvi のアイコンをダブルクリックする。
3-9. [Space] を押すことにより、一ページ毎に表示される。
3-10. 最後まで来たら、[Esc] でプレゼンテーションモードを抜け出る。

3-11. 最初のページまで戻る(自動的にプレゼンテーションモードへ移行)。
3-12. [F5] を押して、Cover sheet で覆う。

3-13. マウスの左ボタンを押し下げると、上下矢印のカーソルがcover sheet の位置に現れるので、それをマウスで下に動かして、cover sheet を下げ、表題のページを全て表示する。
3-14. [Space]キーを一回、それで画面の文字が消えないときはもう一回押して、画面の文字を消す(次のページが cover sheet で覆われて表示されている)。
3-15. マウスの左ボタンを押し下げて、cover sheet を上下に動かしてみる。
3-16. [Space]キーによってcover sheetで覆われた最後のページへ移動し、マウスを使ってcover sheetを動かして最後のページを全て表示させる。

3-16. 表示された sample.dvi の部分をクリックして、別の文書表示に移動する(自動的に、プレゼンテーションモードから抜け出る)。

なお、縦長紙面を Cover sheet と縦スクロールとで表示するには以下の手順がよいでしょう。
  1. (Alt+NCO で) Cover sheet On とし、さらに、Alt+NC(R) で、On for Pause のチェックを外しておく。Alt+NV の Cover type は、デフォルトの bottom であるとする。
  2. [Shift]+[F6](= [Alt]+[D][G][N], [Esc], [6])でプレゼンテーションモードへ入る。
  3. 画面は cover sheet で覆われた状態なので、マウスの左ボタンを押し下げた状態で、右ボタンクリック後(両矢印のカーソルで)、そのまま下にマウスを動かすことにより cover sheet を除いていく。
  4. スクリーン全体から cover sheetが除かれたら、[Space] を押し(これにより、スクリーンから見えない先の部分からもカバーシートが取り除かれる)、スクロール(矢印キーやマウスによる)によって、そのページの最後まで表示する。
  5. [Space] を押すと、画面が消されるので(= 次のページ先頭が cover sheet で覆われた状態)、以下上記のように
      cover sheet の移動[Space]スクロール[Space] → ... と繰り返す。
  6. 最後のページの表示が終わったら、[Alt]+[X] または [Shift]+[F2] で抜け出す。
なお、上記 [Shift]+[F6], [Shift]+[F2] は、Ver.3.14.3 以降のキー機能のデフォルトです。

2. プレゼンテーション用のDVIファイル

プレゼンテーション用のDVIファイルを作成するにあたって、以下のことがポイントとなるでしょう。 たとえば、1.4. 連結スクロールなどのほとんどの初期設定は、 DVIファイルに埋め込んでおくことができます。

2.1. ソースの流用

論文や報告書のLaTeX2εのソースをプレゼンテーション用に流用することを考えてみます。
以下の例のようにすると、自動的に連結スクロールで使えるようになります。
  \documentclass[...]{...}
  \usepackage{....}
  \AtBeginDvi{\special{dviout !A!zdy!pdl;!b}}
  \pagestyle{empty}
  ...
  \begin{document}
  \maketitle\thispagestyle{empty}
  ...
上記の \pagestyle{empty} は、ページのヘッダやページ番号をつけないことを意味します。
\thispagestyle{empty} は、タイトルページも同様の設定をすることを意味します。

\AtBeginDvi{...} は、DVIファイルの先頭に {...} を置くことを意味し、dviout specials の中身の意味

!A
画面の書き換えの表示への反映を止める
!z
Display → Cut edge
dy
Display → Y-two pages
!p
プレゼンテーション・モードへ移行
dl
[6] (Full)
;
上記の処理が終了するまで待つ
!b
書き換えた画面の表示を再開する
より詳しくは、dvioutのOn-line Help のdviout specialsの項や、 Help → Key table を参照してください。

Cut edge機能を使わず、切り取る位置を直接指定するには、たとえば

  \AtBeginDvi{\special{dviout -y=F18.6cm:26.5cmP -OX=2cm -OY=2.5cm !Ady!pdl;!b}}
などのようにします。

2.2. 文字を見易く (SliTeX)

OHPの原稿作成用のSliTeXは、LaTeX2εにおいて slides クラスとして実現されていて、OHP の原稿作成などに用いられています。SliTeXでは、サンセリフ体でなくて線が太い独自のフォントが使用され、標準のフォントのサイズも20ポイント、と見易さを主眼として作成されています。

これをdvioutのプレゼンテーションモードで使用する場合、SliTeXの標準のフォントに対して、WindowsのTrueTypeでないPKフォントを使用するとすると想定されるので、縮小が整数分の1になるように工夫すると、より綺麗なgray scale表示が得られます。これは以下のことに関連します。

slidesクラスを用いて、連結スクロールを使う例

  \documentclass[leqno]{slides}
  \usepackage{graphicx, color, amsmath, amssymb, amsfonts}
  \AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=180 -y=F1024dot/90dpi:30in !Ady!pdl;!b}}
  \textwidth=11.2in    \textheight=29.6in
  \hoffset=-0.8in      \voffset=-1.2in
  \pagestyle{empty}
  \title{...}
  \author{...}
  \date{...}
  ...
  \begin{document}
  \maketitle\thispagestyle{empty}  % 表紙
  %\begin{slide}
  ...                              % 本文
  %\end{slide}
  \end{document}
上記は、XGA (1024 x 768 dot) の画面での表示を念頭においています。 指定を変更して
  \AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=360 -y=F1024dot/90dpi:30in !Ady!pdl;!b}}
とすると、1/4 x 1/4 の gray scale になります。また
  \AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=300 -y=F1024dot/100dpi:27in !Ady!pdl;!b}}
とすると、(1024/90 > 1024/100 なので)表示される文字が大きくなり、1行の文字数が変わります。このときは、\textwidth などの値も変更が必要です。

Cover Sheetを使う例

一方、紙面を表示画面に一致させる場合は
  ...
  \AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=300 -y=F1024dot/100dpi:768dot/100dpi !AN5NO!pdndf;!b}}
  ...
  \begin{document}
  ...
  \begin{slide}          % ページの始まり
  ...
  \end{slide}            % ページの終わり
  \begin{slide}          % ページの始まり
  ...
  \end{slide}            % ページの終わり
  \end{document}
などと上の例を修正し、各ページを \begin{slide}\end{slide} で囲って定義します。

ここでは、各ページが cover sheet で覆われた状態で表示され、マウスの右ボタンを押し、マウスカーソルを使って cover sheet を下方に動かし、その後 [Space] キーで次のページへ進む、というプレゼンテーションを想定しています。dviout specialsには

N5
cover type : bottom(下部を覆う.横書き用)
N7
cover type : left(左部を覆う.縦書き用)
N0
general screen
NO
cover sheet ON
NP
ON for pause(= 区切りの無いページは、cover sheet を開いた状態で始める)
dn
線画機能 ON
df
[5] (Fill)
などを使います。

ページを定義し、その途中に区切りをつけて、[Space]キーで区切り毎に表示を進行させていくには

  ...
  \AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=300 -y=F1024dot/100dpi:768dot/100dpi !AN5NP!pdf;!b}}
  \def\pause{\special{pause}}
  ...
  \begin{document}
  \begin{slide}          % ページの始まり
  ...
  \pause               % 区切りの挿入
  ...
  \end{slide}            % ページの終わり
  \begin{slide}          % ページの始まり
  ...
  \end{document}
のように、 \begin{slide}\end{slide} で囲って定義した各ページの中の適当な(段落の)切れ目の部分に \pause を挿入します。
一般に、紙面の縦横比を表示画面の縦横比と一致させて、プレゼンテーションモードで[5](Fit) を押せば、紙面が表示画面と一致する。

Windows の TrueType フォントのみを用いているときは、整数分の1で縮小を行わなくても、文字品質が落ちることはないので、作成される文書の紙面の縦横比のみに注意すればよい。

この場合、例えば XGA (1024 x 768), SVGA (800 x 600) などでは 4:3 なので

  -y=F16cm:12cmP
などの指定でよい(-y=XGAP などでもよい)。なお、SXGA(1280 x 1024) では、5:4 となる。

自動表示の例

cover sheet を使った上記の例において、[Space] を押すキー操作をdviout specialによってDVIファイルに埋め込むと、自動表示が可能になります。例えば、
  \documentclass{slides}
  ...
  \AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=300 -y=F1024dot/100dpi:768dot/100dpi !AN5NP!pdf;!b}}
  \def\pause{\special{pause}}
  ...
  \begin{document}
  \begin{slide} % 最初のページ(この例では2つの \pauseを含む)の始まり
  ...
  \pause  % 区切りの挿入
  ...
  \pause  % 区切りの挿入
  ...
  \special{dviout `timer 5000 je} % 最初の \pause で5秒待つ
  \special{dviout `timer 5000 je} % 次の \pause で5秒待つ
  \special{dviout `timer 10000 je}% さらに10秒待って次のページへ
  \end{slide}   % 最初のページの終わり
  ...
  \begin{slide} % 最後のページ(この例では、\pause なし)の始まり
  ...
  \special{dviout `timer 20000 jt}% 20秒待って最初のページへ
  \end{slide}   % 最後のページの終わり
  \end{document}
ここでは、さらに以下のdviout specialsが参考になります。
je
[Space]
jt
[Ctrl]+[Home], 最初のページへジャンプ
`timer xx
次のdviout specialsを実行するまで xx/1000 秒待つ
`href yy:zz
HyperTeX special の \special{html:<a href="yy:zz">} を実行する
各ページで \pause の個数とおなじ回数 [Space]キーを押すとそのページが全て表示され、さらにもう一度 [Space]キーを押すと次のページに進みますが、それを自動的に行っています。
たとえば、以下のように定義を工夫すると、ソースはより簡単に書けるでしょう。
  \documentclass{slides}
  ...
  \def\pause{\special{pause}\special{dviout `timer 5000 je}} % 各\pauseで5秒待ち
  \def\startpages{\begin{slide}}
  \def\nextpage{\special{dviout `timer 8000 je}\end{slide}\begin{slide}} % 8秒待って次ページへ
  \def\endpages{\special{dviout `timer 10000 jt}\end{slide}} % 10秒待って最初のページへ
  ...
  \begin{document}
  \startpages   % 最初のページの始まり
  ....
  \pause
  ....
  \nextpage     % 次のページへ
  ...
  \pause
  ...
  \endpages     % 最後のページの終わり
  \end{document}
また HyperTeX と併用すれば
  \special{dviout `href file:foo.mid}
は、foo.mid という音楽を鳴らすこと
  \special{dviout `href file:foo.dvi}
は、foo.dvi の表示に移ること、というような指定ができます。

この機能を使うと、「解説の音声」を入れた自動プレゼンテーションや、「英語の文章を表示しながらそれを読み上げる」というようなプレゼンテーションも簡単に実現できます。

なお

  \def\nextpage{\end{slide}\begin{slide}}
  \def\endpages{\end{slide}}
と変更すると、自動表示ではないものが、一方
  \def\pause{}
  \def\startpages{}
  \def\nextpage{}
  \def\endpages{}
として、\AtBeginDvi{...} も修正すれば、 連結スクロール用のものが作成されます。

表示制御(dviout special `+ )を使う例

表示の各ページの中身に対して、その時のレベルに応じて表示、非表示を切り替える dviout special `+ を用いて、[Space]キーによって順次表示していくプレゼンテーションです。 よって、TeX のソースに
  ....
  \special{dviout `+M-}
  ....
  \special{dviout `+M-}
  ...
とあれば、\special{dviout `+M-}\special{pause} としたものと [Space] を押していくとき、ほぼ同様の表示をする。ただし前者は画面上である部分以下を隠すが、後者はソース上のそれ以下の部分を無視するという違いがある。
  ...
  \special{dviout `+1-}
  ...
  \special{dviout `+0-}
  ...
とあれば、最初表示されなかった真ん中の . . . の部分が、[Space] を押すと現れる。
 I am a \special{dviout `+0}dog.%
 \llap{\special{dviout `+1-}cat.}\special{dviout `+0-}
とすると、「I am a dog.」 と表示されていたものが [Space] を押すとレベルが 0 から 1 になって 「I am a cat.」 に変わる。
  \documentclass{slides}
  ...
  \AtBeginDvi{\special{dviout -dpi=300 -y=F1024dot/100dpi:768dot/100dpi !AN0!w!p;!b!0df}}
 ...
  \begin{document}
 ...
などとすればよい。関連するdviout specials
!0
dviout special `+[levels] を有効にし、レベルは 0 にリセットする。
!1
dviout special `+[levels] を無効にし、レベルは 0 にリセットする。
関連するキー操作は
[Space]
1ステップ進む
CTRL+N
reNew: level を 0 に戻してそのページを再表示する
CTRL+U
dviout special `+[levels] を有効にする(つぎの再表示から有効)
CTRL+V
dviout special `+[levels] を無効にする(つぎの再表示から有効)
なお、メニューStop CTRL で、この表示制御の有効/無効を変更できます(CTRL+U/CTRL+V CTRL+N)。

2.3. フォントや画像の埋め込み

画像や特殊なフォントを使う場合、それらをDVIファイルに埋め込んでおけば、それらがない 環境においても、dvioutを用いたプレゼンテーションを行うことができます。詳しくは、 DVIファイルにフォントや画像を埋め込むや、On-line Help の「目次 → DVIファイルへの埋め込み → フォント/画像の埋め込み」を参照してください。PKフォント、TrueTypeフォントのどちらも埋め込むことができます。

2.4. プレゼンテーション用スタイルファイル

LaTeX2e では,slideクラスによってプレゼンテーション用に1ページずつ表示画面を作ることができます.
  \documentclass{slides}
これを拡張し,背景画面の設定や dviout での段階表示などの特殊機能を取り入れた jslidesパッケージが乙部氏により作成され公開されています。
これを利用すると美しいプレゼンテーション用のファイルが容易に作成できます。

3. プレゼンテーション中の操作

3.1. キー・マウスの操作

・ プレゼンテーションは、キーまたはマウスの単純な操作で進行できるようにしておくことが望まれます。 プレゼンテーションモードでは、[Shift]+[F1] でキー操作の一覧が表示されます。

・ Option → Setup Parameters... → Key で、任意のキーにコマンドなどの操作が定義できます。 マクロ機能を使うと、パラメータ変更などの一連の機能も一つのキーに定義できます。

[Space]キーのみで進行するように準備されてあったとしましょう。
[Space]キーの役割を、マウスの右、または左ボタンに割り当てることができます(Presentation → Use Mouse Button → Left/Right あるいは dviout specialsでは、TL/TR に対応)。

マウスボタンの機能は、プロジェクターのリモートコントローラで代替できるものが多いので、 この設定を使うと、プロジェクターのリモートコントローラの操作のみでプレゼンテーションを進めることができます。
(デフォルトでは)マウスを画面の左下端に動かしたときに現れるメニューの [ > ] ボタンをクリックして、プレゼンテーションを進めることができます。一方、[ < ] ボタンによって前のページに戻ります。

・ 矢印のマウスカーソルは、OHPを使ったプレゼンテーションにおけるレーザポインタの役割をします。マウスをしばらく(= 2 sec)動かさないままにしておくと、矢印カーソルは消えますが、マウスを動かしたときに再表示されます。

・ Cover sheet 用の両(or 四方)矢印カーソルは、マウスの左ボタンを押すと、あるいは、左を押しながら右をクリックすると表示されます。前者は、紙面全体が表示されている場合です。

紙面全体が表示されていない場合は、マウスの左ボタンのみを押すと手の形のカーソルになり、紙面の表示部分のスクロールができます。
・ プレゼンテーション・モードでのメニュー・ダイアログは、[Shift]+[F12] やメニューの[+] ボタンで変えられます。左上端にあるとき以外は通常消えていて、カーソルがその位置に来たときのみ現れ、邪魔になりません。
Presentation → Presentation Menu のチェックが On になっていれば、プレゼンテーション・モード起動時にメニューが有効です。
Presnetation → Save Presetation settings により、このチェックの On/Off およびメニューの形状や位置などの現在の状況を次回以降のdviout起動時のデフォルトに設定できます。

3.2. 移動

ページを指定した移動をするには
[Space]キーなどで次ページ、[Back space] で前ページ、[Ctrl]+[Home] で先頭ページ、[Ctrl]+[End] で最終ページへ、などという移動は通常と同じです。 同様に、[/] に続いてページ番号を入力して [Enter] を押すページ番号指定の移動機能が使えます。たとえば、
  / + 3 [Enter]
とすると、2ページスキップして3ページ後のページへの相対ジャンプができます(上記で + をつけないと、先頭から3ページ目を意味します)。

あらかじめ決まっている箇所や文書に移動するには、 HyperTeX の機能を使うと便利です。
添付のmyhyper.styを使った場合は

  ...
  \usepackage{myhyper}
  ...
  \name{thm1}{Theorem~1}
  ...
  It follows from the preceeding \goto{thm1}{theorem} that
  ...
  ... \href{foo.dvi}{FOO} ...
  ...
  ... \href{reference.doc}{reference} ...
  ...
などとすると

theorem と表示された部分を マウスの左ボタンでクリックすると、"Theorem 1" の部分にジャンプします。
その後、[Shift]+[F] を押すと、もとの theorem の部分に戻ります。

FOO と表示された部分を同様にクリックすると、 foo.dvi の表示に移ります。その後、[Shift]+[F] を押すと、 元のファイルの元の位置に戻ります。

reference と表示された部分をクリックすると、Microsoft Word が起動されて、Microsoft Word の文書 reference.doc が表示されます。

[Shift]+[F] の代わりとして、[<] でも同じです。

reference.doc の部分は、拡張子がシステムに登録されているファイル(*.avi, *.wma, *.exe など、実行ファイルも可、アクセス可能なインタネット上にあってもよい)を指定できます。

表示中のドキュメントの離れたページに移動するには
プレゼンテーション中に質問を受けて、以前のページを参照しなければならないことがあります。ページ数の多い文書ではその箇所を捜すのが大変なことがあります。
このようなときは [9] を押して、16ページずつの同時表示画面サムネール機能)に移り、該当のページをマウスの右ボタンでクリックすればそのページに移動できます。戻るのも同様な方法で可能です。 戻るには、マークを付けておく以下の方法も使えます。

位置をマークしておいて、後からそこに移動するには
[M] で位置をマークしておき、後から [Ctrl]+[G] でマークした位置にジャンプします。 ジャンプ前の位置に戻るには、[Shift]+[F] を押します。

別のページに移動して戻って来るには
[M] で現在の位置をマークし、移動後 [Ctrl]+[X] によって元の位置に戻り、移動した先とマークを交換します。再度の [Ctrl]+[X] で、両者間での移動となります。

別のDVIファイルに移動して戻って来るには
HyperTeX や [Alt]+I, [Ctrl]+[O] などから別の DVIファイルを表示します。その後、[Shift]+[F] (または、[<])で元のDVIファイルに戻ります。[Shift]+[L](または、[>])では、再度そのファイルへ移り、[Shift]+[F] (または、[<]) で戻ります。

移動後の初期化や再設定
他のファイルに移っての移動などで、プレゼンテーションの設定の初期化や再設定が必要なことがあります。
これらはキー操作で可能ですが、マウスを右下端に移動したときに現れるメニューから行うこともできます。
キー操作を忘れたときは、[Shift]+[F1] でその一覧が表示されます。

3.3. OHP2台に代わるもの

OHPを使うプレゼンテーションでは、OHPを2台使用して、一つ前のシートも表示しておくことがあります。

コンピュータからのプロジェクターによるプレゼンテーションとOHPによる表示とを同時に使うことが出来る場合は、両者を同時に使って同様のことが可能でしょう。 OHPのシートの内容は、プレゼンテーション用に作成したものが流用できるでしょう。


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