講義を終えて

1997年度幾何学A演習

講義のテキスト「曲線と曲面の微分幾何(改訂版)」(小林 昭七著、裳華房)に
沿って演習を行った。演習にあたっては、問題と解答用紙を配布し、頃合いを見計
らって適宜指名して黒板で解いてもらうという形式を採った。また、解答用紙はざっ
と目を通し、必要に応じてコメントを付けた上全て返却した。

扱った主な内容としては、曲線や曲面の曲率、第一・第二基本型式、接平面、
ベクトル場、微分形式、測地線などが挙げられる。これらの基本的な概念を理解し、
そのイメージをつかむことはもちろん演習の主眼の一つであったが、さらに、正し
い答がとにかく出せる、ということではなく、自分できちんと考えて結論を(たと
え間違っていても)自分で出せるようになる、ということにも力点を置いた。高校
生の時まではこのようなことを要求される機会が少ないせいか、学期当初は戸惑っ
た学生が多かったようだが、最終的にはそれなりに慣れてくれたのではないかと思う。

これまでTA(ティーチング・アシスタント)として演習を担当したことはあった
が、主体的に演習を担当するのは初めてであったこともあり、内容のもつ数学的な
深さや広がりについてあまり触れられなかったことは残念で、反省すべき点だと思
われる。また、上記に加え内容が多岐にわたったためか、全体として消化不良気味
になってしまったが、内容を削るのはなかなか難しく思われ、何らかの対処が必要
であると思われる。学生達にも予習や復習により一層励んでもらうことも必要であ
ろう。

追記 数学科の私のホームページからリンクを辿ると、演習問題を入手できます。
問題の残部がない場合や、私に連絡が取れない場合はそちらからお持ち下さい。

足助 太郎 記
注:小冊子「講義を終えて」に記載のものを転載
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