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\centerline{1999年度解析学XF/無限次元構造論の講義内容}
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\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟310号室 (電話 5465-7024)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{ホームページ http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}
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毎週月曜13:00から14:30までの講義です.

この講義では,作用素環論に関連して現れる,組合せ位相幾何学的な
手法,結果について解説します.作用素環論についても,位相幾何学に
ついても,予備知識はまったく仮定しません.
代数的・組合せ論的な公理系から出発し,完全に初等的に理論を
展開します.
有限群の表現論は知っていた方が都合がいいと思いますが,論理的には
それも必要ではありません.必要なことは,新しい代数的構造を素直
に受け入れるということだけです.
この講義は「解析学」と名前がついていて,
昨年度,一昨年度の私の同科目名の講義では関数解析的な内容を
取り扱いましたが,今年度の内容は解析学
ではありません.もともとは無限次元の関数解析が動機の背後にあるわけで,
それらについて「説明」はしますが,論理的にはそれらは一切不要です.

1984年,V. F. R. Jonesは,作用素環論において自分の
創始したsubfactor理論の応用として,linkの不変量Jones多項式を
発見しました.これを契機に3次元トポロジーにおける「量子的」
不変量の理論が誕生し,それ以来爆発的に進歩し続けています.
その中で,作用素環論,位相幾何学,量子群,共形場理論にほぼ
共通した代数的構造が現れることがわかって来ました.しかし各分野には
それぞれ固有の動機があるので,完全に代数的構造が同じというわけでは
ありません.この講義では,作用素環論のsubfactor理論の視点を
もとに,しかし論理的にはそれと独立な形で,その構造を解説します.

具体的な内容については次のようなものを考えています.
Ocneanuによって発展させられた理論とその応用が中心となります.

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(1) Fusion rule algebra, tensor categoryと$6j$-symbol

\noindent
(2) Ocneanu-Turaev-Viro型の3次元topological quantum field theory

\noindent
(3) Braiding

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(4) Reshetikhin-Turaev型の3次元topological quantum field theory

\noindent
(5) Tensor categoryのquantum double construction

\noindent
(6) Tensor categoryの同値関係

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(7) Double triangle algebraとchiral projector

\noindent
(8) Modular invariant

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単位はレポートでつけます.昨年度,一昨年度の私の同科目名
の講義の単位を取ってしまった人は,(内容はまったく違うんですが)
今年の単位は取れません.

\bye