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\define\e{\varepsilon}


\centerline{解析学XD・スペクトル理論レポート問題}
\medskip
\rightline{2010年1月18日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

\bigskip
以下の問題を解いて,レポートを提出してください.
締め切りは2月3日(水),提出先は1階事務室です.

\bigskip [1]
$A$ を Hilbert 空間の上のコンパクト自己共役作用素とする.
この $A$ をスペクトル分解するときに現れる
単位の分解 $\{E(\lambda)\}$ はどのようなものか,記述せよ.

\bigskip [2]
$\R$ 上の Lebesgue 測度を考える.
$\R$ 上の実数値可測関数 $F(x)$を取り,
$$D(A)=\{f\in L^2(\R)\mid Ff \in L^2(\R)\}$$
とおいて,
$f\in D(A)$ のとき,$Af=Ff$ とおくことにより,
線形作用素 $A$ を定める.($Ff$ は関数 $F$ と $f$ の
掛け算である.) この $A$ のスペクトル分解に現れる
単位の分解 $\{E(\lambda)\}$ はどのようなものか,
記述せよ.

\bigskip [3]
$A$ を,Hilbert 空間 $H$ の上の自己共役作用素とし,
$A=\dsize\int_{-\infty}^\infty \lambda dE(\lambda)$ を
$A$ のスペクトル分解とする.実数 $t$ に対し,
$U_t$ を $U_t=\dsize\int_{-\infty}^\infty e^{it\lambda}
dE(\lambda)$ とおく.

(1) $U_t$ は,作用素の強収束に関して,$t$ について連続で
あることを示せ.

(2) $U_t$ が,ノルム収束に関して,$t$ について連続で
あるための条件を求めよ.

\bigskip [4]
$\{\alpha_n\}_n$ を複素数列とする.
$H$ を可分な無限次元 Hilbert 空間,$\{e_n\}_{n=1,2,\dots}$
をその完全正規直交系とする.
$e_n$ たちの有限1次結合全体のなす空間を $D$ とおき,
$D$ を定義域とする線形作用素 $A$ を $Ae_n=\alpha_n e_{2n}$
によって定める.

(1) $A$ は可閉であることを示し,$A$ の閉包 $B$ を具体的に
記述せよ.

(2) $A^*$ はどのような作用素か.具体的に記述せよ.

\bigskip [5]
$\{T_n\}_n$ を Hilbert 空間 $H$ 上の有界線形作用素の列とし,
$T$ の $H$ 上の有界線形作用素であるとする.

(1) $\{\|T_n\|\}_n$ が有界であり,$H$ のある稠密な部分空間
$H_0$ について,任意の $x\in H_0$ に対して
$\|T_n x-Tx\|\to 0$  となるならば,
任意の $x\in H$ に対して
$\|T_n x-Tx\|\to 0$ $(n\to\infty)$ であることを示せ.

(2) 上の (1) で $\{\|T_n\|\}_n$ の
有界性を落とした場合の反例を挙げよ.

\bigskip [6]
$H=L^2(\R)$, $H_0=C_0^\infty(\R)$ とし,$H_0$ を Hilbert 空間
$H$ の部分空間とみなす.$H_0$ を定義域とする作用素 $A$ を,
$(Af)(x)=f''(x)$ で定める.このとき $A$ は可閉であって,
その閉包が自己共役になることを示せ.

\bye