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\define\C{\bold C}
\define\e{\varepsilon}


\centerline{解析学XD・スペクトル理論レポート問題}
\medskip
\rightline{2005年1月14日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{{\tt https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

\bigskip
以下の問題を解いて,レポートを提出してください.
締め切りは2月7日(月),提出先は1階事務室です.

\bigskip [1]
$A$ を Hilbert 空間 $H$ 上の有界線形自己共役作用素とする.
このとき次の式を示せ.

$$\|A\|=\sup_{x \in H, \|x\|=1} |(Ax,x)|.$$

\bigskip [2]
次の行列を Hilbert 空間 $\C^2$ から $\C^2$ への線形写像と
みなしたときのノルムを求めよ.
$$\left(\matrix 1 & 2 \\ 3 & 4 \endmatrix\right).$$

\bigskip [3]
$H=L^2(\R)$, $H_0=C_0^\infty(\R)$ とし,$H_0$ を Hilbert 空間
$H$ の部分空間とみなす.$H_0$ を定義域とする作用素 $A$ を,
$(Af)(x)=if'(x)$ で定める.このとき $A$ は closable であって,
その閉包が自己共役になることを示せ.

\bigskip [4]
$A,B$ を,Hilbert 空間 $H$ 上の閉対称作用素とし,$A, B$ の
定義域はいずれも $H$ で稠密とする.この $A, B$ の Cayley
変換をそれぞれ $U, V$ としたとき,
$A\subset B$ となる必要十分条件は $U\subset V$ であることを
示せ.

\bigskip [5]
Hilbert 空間 $H$ の稠密な部分空間上で定義された
線形作用素 $A$ で,$D(A^*)=\{0\}$ とものの例をあげよ.

\bigskip [6]
複素平面の開単位円板の上の正則関数 $f(z)$ で,
$f(z)=\sum_{n=0}^\infty c_n z^n$ と Taylor 展開した時に
$\sum_{n=0}^\infty |c_n|^2 < \infty$ となるようなもの全体のなす
空間を $H^2$ と書く.このような $f(z)$ を $\{c_n\}_n \in \ell^2$
と同一視することにより,$H^2$ は Hilbert 空間になる.
$$D(A)=\{f\in H^2\mid i \frac{1+z}{1-z}f(z)\in H^2\}$$
とおき,$f\in D(A)$ に対して
$Af(z)=i \dfrac{1+z}{1-z}f(z)$ とおく.

(1) $D(A)$ は $H^2$ で稠密で,$A$ は対称作用素であることを示せ.

(2) $A$ の Cayley 変換を求めよ.

\bigskip [7]
$A$ を無限次元可分 Hilbert 空間 $H$ 上の線型自己共役 compact 作用素とする.
$A$ のスペクトル分解はどのようなものか,記述せよ.

\bye