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\def\ran{\rangle}
\def\supp{\text{supp}}

\centerline{1999年度数学IV・期末テスト略解解説}
\medskip
\rightline{2000年2月22日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{ホームページ:{\tt http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}
\bigskip

配点は順に25, 20, 20, 20, 20点の105点満点です.
この点数$x_2$が上に赤で書いてあります.
中間テストの点数を$x_1$とすると,最終成績$x$は前に予告したとおり,
$x=0.3\max(x_1,x_2)+0.7x_2$として計算します.(100点を超えたら100点
で頭打ちです.)これが青で書いてある点数で,教務課に報告されるものです.
採点ミスがあると思う人は,ただちに申し出て
下さい.(返却する答案は,すべてコピーが取ってあります.)

期末テスト自体の最高点は105点(2人),平均点は67.6点,その得点の
分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点) && 50--59 && 60--69
&& 70--79  && 80--89 && 90--99 && 100--105 & \cr
\vsp\t
&  14 (人) && 10 && 12 && 18 && 7 && 10 && 5 & \cr
\vsp\t
}}$$

最終成績(青い数字)の平均点は71.4点,その得点の
分布は次のとおりです.

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点) && 50--59 && 60--69
&& 70--79  && 80--89 && 90--99 && 100 & \cr
\vsp\t
&  9(人) && 7 && 10 && 26 && 6 && 13 && 5 & \cr
\vsp\t
}}$$

以下略解と解説です.

\bigskip [1] 
これは普通の方法でやるだけです.
答え(の一例)は,次のとおりです.
$$
\left(\matrix
-2 & -3 & 9\\
1 & 2 & -5 \\
1 & 1 & -3
\endmatrix\right)
\left(\matrix
-8 & -10 & 31 \\
-2 & 3 & 2 \\
-3 & -2 & 10 
\endmatrix\right)
\left(\matrix
1 & 0 & 3\\
2 & 3 & 1\\
1 & 1 & 1
\endmatrix\right)
=
\left(\matrix
3 & 1 & 0\\
0 & 3 & 0\\
0 & 0 & -1
\endmatrix\right)
$$

\bigskip [2] 
これも普通にやれば,楕円 $4(x-1)^2+y^2=1$を$\pi/4$回転したもので
あることがわかります.図は省略しますが,$x$軸,$y$軸とはそれぞれ2点
で交わっています.交わっていなかったり,接していたりする図は減点です.

\bigskip [3] 
まず,$x^3-5x^2+8x-4=0$の解が重根2と単根1であることから,
$f(t)=(at+b)e^{2t}+ce^t$が一般の解の形です.条件より,$a=0, b=0, c=1$
となって,答えは$f(t)=e^t$です.

\bigskip [4] 
これは簡単にすぐ解いている人もたくさんいましたが,問題の意味を誤解して
苦しんでいる人もかなりいて,「問題がおかしい」という文句もいくつか
あったのでまずそこから説明します.

問題の漸化式で$a, b$が決まっていたとしても,
初期値 $x_1, x_2, x_3$の取り方によって,
いろいろな解がありうるわけです.問題で言っている条件は,
そのいろいろな解の中に
$n$の一次式で表されるものがある,ということです.この条件から以下のように,
$a, b$の値が定まります.後半部では,この$a, b$に対し,指定の初期値の元で
漸化式を解け,というもので,こちらは「いろいろな解」の中で上とは別のものを
要求しているので,こちらの答えが$n$の一次式にならなくても(というか,最初の
3項を見ただけで明らかに一次式になりませんが)問題はありません.

まず前半ですが,
$t^3-4t^2+at+b=0$が$t=1$を重根として持つことを使うか,あるいは
単に$x_n=cn+d$とおいて漸化式に代入するかします.これより,
$a=5, b=-2$がわかります.後半は普通の方法で係数を決めて,
$x_n=n+2^n$となります.

\bigskip [5] 一番「ずるい」方法では,
$$B=\left(\matrix
1 & 1 & 0 \\
0 & 1 & 1 \\
0 & 0 & 1 
\endmatrix\right)$$
としたとき,$A=B^3$であることに気づけばすぐに,
$$A^n=\left(\matrix
1 & 3n & 3n(3n-1)/2 \\
0 & 1 & 3n \\
0 & 0 & 1 
\endmatrix\right)$$
が求まります.普通の方法でも,固有値が1 (3重根)
であることはすぐにわかるので,Jordan標準型に
直すか,またはCayley-Hamiltonの定理を使って,$t^n$を$(t-1)^3$で
割ったあまりを求めても比較的簡単にできます.
\bye