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\def\lan{\langle}
\def\ran{\rangle}
\def\supp{\text{supp}}

\centerline{数学IV・中間テスト解答・解説}
\medskip
\rightline{1999年12月24日}
\rightline{河東泰之(かわひがしやすゆき)}
\rightline{数理科学研究科棟323号室(電話 5465-7078)}
\rightline{e-mail: yasuyuki\@ms.u-tokyo.ac.jp}
\rightline{ホームページ:{\tt http://kyokan.ms.u-tokyo.ac.jp/\~{}yasuyuki/}}

\bigskip
配点は1番から順に,30, 30, 20, 20, 10点の110点満点です.
平均点は79.6点,最高点は105点でした.
得点の分布は次のとおりです.採点はティーチングアシスタントの
勝良君です.採点ミスがあると思う人は,ただちに申し出て
下さい.(返却する答案は,すべてコピーが取ってあります.)

$$\vbox{\offinterlineskip
\def\vsp{height 2pt &\omit &&\omit &&\omit &&\omit
&& \omit &&\omit &&\omit
&\cr}
\def\t{\noalign{\hrule}}
\def\h{\hfil}

\halign{& \vrule # & \strut \;\;\hfil # \; \cr
\t\vsp
& 0--49 (点) && 50--59 && 60--69
&& 70--79  && 80--89 && 90--99 && 100--105 & \cr
\vsp\t
&  5(人) && 4 && 8 && 10 && 21 && 19 && 12 & \cr
\vsp\t
}}$$

配点,採点はだいぶ甘くなっています.
期末試験は,もっと厳しくつけることになるでしょう.
たとえば,1番から順に,20, 30, 20, 30, 10点の配点にして,
[1]の計算ミスは0点,[2]〜[4]の部分点ももっと厳しくするといった
感じです.

以下,略解を付けます.

\bigskip [1]
公式どおり計算して,
$$
\left(\matrix
0 & 1 & -1 \\
2 & 1 & 0 \\
1 & -3 & 3
\endmatrix\right)
$$
となる.

\bigskip [2]
決まったやり方どおりにやればよい.答えはたとえば,
$$
\left(\matrix
1 & -1 & 0\\
-1 & -2 & -1 \\
0 & 1 & 0
\endmatrix\right)
\left(\matrix
1 & -5 & -1 \\
0 & -1 & 0 \\
1 & 11 & 3 
\endmatrix\right)
\left(\matrix
1 & 0 & 1\\
0 & 0 & 1\\
-1 & -1 & -3
\endmatrix\right)
=
\left(\matrix
2 & 1 & 0\\
0 & 2 & 0\\
0 & 0 & -1
\endmatrix\right)
$$
である.

\bigskip [3]
行列式を求めると$(t-2)^2(t+5)$を得るので,
$t=2,-5$ではないときは,rankは3である.
$t=2,-5$のときは直接チェックするとそれぞれrankは
$1, 2$である.よって,rankを最小にする$t$の値は$2$
である.

あるいはrankが0にならないことは明らかなので,1になる
ような$t$を探してもよい.

\bigskip [4]
固有方程式は $(t-a)(t^2+(a-3)t+a)=0$なので,
これが重根を持たなければ問題の行列は対角化可能である.
これが重根を持つような$a$の値は$a=0,1,9$であり,それぞれ
について調べれば,いずれの
場合もJordan標準型は求める形であることがわかるので,
これらが答えである.

\bigskip [5]
まず,$A$が対角化可能ならば$A^2$も対角化可能となって,Jordan
標準型は問題のようにはならないことに注意する.次に$A^2$の固有値が
単根$0$と2重根$1$であることより,$A$の固有値は単根の$0$と,
あと2つは$\pm1$である.この2つが$1$と$-1$であれば$A$は対角化可能
になってしまうので,そのような場合はおこらない.$1$が重根の場合,
$A$のJordan
標準型は2通り考えられるが,対角化可能ではないはずなので,1通りに
絞られて,また,これは確かにO.K.であることがわかる.
$-1$が重根の場合も同様だから,結局,答は次の2つである.
$$\left(\matrix
1 & 1 & 0\\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 0
\endmatrix\right),
\left(\matrix
-1 & 1 & 0\\
0 & -1 & 0 \\
0 & 0 & 0
\endmatrix\right)$$

\bye