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\documentstyle{amsppt}
\def\a{\alpha}
\def\be{\beta}
\def\ga{\gamma}

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\centerline{1998年度理科II, III類1年生 数学IA演習・小テスト(2)の解説}
\rightline{1998年4月28日・河東泰之}
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今回のはなかなかハードで,何を書いていいのかよくわからなかった
人も少なくないでしょう.だんだんもっと「普通」の問題になっていく
のでそんなに心配することはありません.また,演習のテストの点は
かなり難しめのものも入れるので,点は低めになりますが,
めちゃくちゃに低い点をつけるようなつもりはないので,ちゃんと
やっていればだいじょうぶです.私の大体の採点の傾向は,最初の
日に配ったプリントにあるとおりです.

配点は各問40点の120点満点です.平均は33.3点,最高は120点(1人)でした.
下に略解をつけます.
(これはあくまでも略解です.授業でやったこととよく比べてみて
ください.)

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[1] 実数$\a,\be$がそれぞれ,切断$(A, A')$, $(B, B')$で
表されているとします.このとき,
$\a<\be$でも$\a=\be$でもなかったと仮定します.このとき,
$a\in A, a\notin B$となる有理数$a$が存在します.$a\in B'$
なので,$B$の元はすべて,$a$よりも小さいことがわかります.
$a$より小さい
有理数はすべて,$A$の元だから$B\subset A$です.今
$A\neq B$だから,$\be<\a$となります.

$\a<\be$, $\a=\be$, $\a>\be$の内の2つが同時に成り立ち得ない
ことは定義からわかります.

いきなり,$A\subset B$, $A=B$, $B\subset A$のいずれか
が成り立つ,としている人が非常に多くいましたが,それは大きな論理の
飛躍です.

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[2] 実数$\a,\be$がそれぞれ,切断$(A, A')$, $(B, B')$で
表されているとします.このとき,$C=B+(-A')$とおき,
その(有理数の集合内での)補集合を$C'$とおきます.
すると,授業でやったのと同様にして,$(C, C')$が有理数の
切断であることがわかります.これを$\ga$とおくと,
やはり授業でやったのと同様にして$\a+\ga=\be$であることが
わかります.(少し簡単に書いています.)

$\ga' < \ga$または,$\ga' > \ga$のときは,
$\a+\ga' < \be$または$\a+\ga' > \be$ですから,ほかの
$\ga'$で$\a+\ga'=\be$となることはありません.

「実数の足し算の定義に基づき」という問題の意図は,
上のようにやってほしかったんですが,授業でやった$-\a$の
性質を使っていてもO.K.にしてあります.

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[3] 実数$\a$が,切断$(A, A')$で表されているとします.
$B=\{a/2\mid a\in A\}$, $B'=\{a/2\mid a\in A'\}$とおけば,
$(B, B')$は有理数の切断になり,この実数を$\be$と書けば,
$\be+\be=\a$であることが,定義を順にチェックすることによって
わかります.

\bye